2011/07/12

テシタル地上派 002 バカ通の巻

さあ、徐々に「ワカドクロ」の様子が見えてきていますよ。五回目の再演とは言え、毎回キャストも違いますし、微妙に戯曲も演出も違いますから、当然のコトながら同じ作品では無いんですね。やはり実際に動いて喋ってみないとどんな作品になるかは見当が付かないワケで、しかも本番にならなければどう仕上がるかも判りません。そういうトコロが徐々に判明していくのが稽古の面白いトコロです。
正直言いまして、演劇の一番面白いトコロはココにあるんじゃないかとか思ってしまいます。徐々に出来上がっていく場面が。コレばかりは現場にいる人間だけの楽しみだと思います。すみませんねぇ。我々だけの楽しみで。でも、だからこそ私は演劇を続けているんだと思います。

さて、7/7に発売された「週刊ファミ通」(7/21号)には別冊付録として「別冊バカ通」という小冊子が付いていました。ファミ通25周年を記念して、今まで掲載された「バカ記事」を集めた、まさしくバカな企画の別冊です。いきなりバカ記事と言われても困りますかね?でもファミ通を読んだことのある方ならピンと来るかもしれません。
週刊ファミ通と言えば、かつてはパソコン雑誌「LOGiN」の別冊として、その後は「ファミコン通信」として隔週刊から週刊にまでなったコンピューターゲーム専門誌の老舗。家庭用ゲーム機全般からアーケードゲーム、スマフォアプリまで全てを網羅する姿勢、次週に発売されるゲーム全てを点数形式で審査するクロスレビュー、ゲームに全く関係ない話題まで取り入れる柔軟性など、老舗ならではの影響力とその内部事情、その節操の無さがゲーマーの心を捕らえたり反発されたり、とにかくいろんな意見は聞かれますが、その歴史と記事内容、そして何よりもバカ記事が読みたくていまだに愛読している雑誌です。そう、なんででしょうねえ、いまだに買って読んでしまうんですよ。

そんなファミ通の25周年記念の別冊「バカ通」。謹んで拝読いたしました。25年分のバカ記事が濃縮して収録されています。バカ記事ってのは読んで字の如く「バカな記事」のコトですが、ゲーム紹介が勢い余って変なバカさがにじみ出ちゃってたり、編集者がなぜかヒーローの格好をしてやり込み技を紹介しちゃったりとか、バカな四コマ漫画とか、単に意味のない記事とか、なんかそういう記事がバカ記事です。もちろんそういう記事を載せている雑誌は多いのですが(多いのか?)、ファミ通というNo1.雑誌(自称50万部)がやっているのが面白い。いや、自称部数への批判とか何がNo.1なのかとかへのツッコミもありましょうが、とりあえず私が好きで毎週買っちゃっているんだからしょうがない。
もともとの母体であった株式会社アスキー(現アスキー・メディアワークス)が変でした。雑誌LOGiNも変でしたし、年一回発行されていた「年刊Ah!SKI!」も変でした。年刊Ah!SKI!は4/1に発行されていた雑誌で、広告まで含めて全てがパロディになっていました。編集者・ライターが変なペンネームだったのも特徴で、それはファミ通に受け継がれています。変な名前の編集者?ええ、例えばバカタール加藤、チムコ中堀、水ピン、首藤一等兵、百人乗っても稲葉などなど(敬称略)、変なペンネームでしょ。

まあ、そんなコトを考えながら読んでいたのですが、そこでふと気付きました。私の文体がファミ通バカ記事に影響されていたことを!どこがと言われると困るのですが、なんか微妙に変な言い回しをしてしまうトコロとか、意味のないフレーズを挟んじゃうトコロとか。知らず知らずと影響されていました。そりゃそうでしょう。子供の頃から読んでいたんだから。いや、違う!ファミ通を読み始めたのは二十歳過ぎてからだ!何しろファミコンをプレイし始めたのも大学生になってからだった!なのにこの影響力!まあ、それほどまでにパワーがあったってコトですよ。「あショックウェーブ」とか「コインいっこいれる」とか「しちゃうワナ」とか「(残響音含む)」とかいまだに言っちゃうもんな。言わねえよ!言わないけど書いちゃうよ!書いてるのかよ!
まあ、今でもちゃんとバカ記事を載せているあたり、キチンとDNAを継承しているんだなとは思いますが、さすがにこの高度情報化社会の中、いつまでもバカ記事に頼っている場合では無いのでしょうね、今ではちゃんとしたゲーム情報雑誌にはなっていますが、そこここにバカ記事の片鱗が見られるからいまだに買っちゃうんでしょうね。

中でも私が好きだったのは「風のように永田(現・永田泰大)」さんの記事。今では「ほぼ日刊イトイ新聞」のスタッフとして大活躍の永田さん。記名無記名合わせると多くの著作やサイトがありますが、中でも私がオススメしたい本が「ファイナルファンタジーXI プレイ日記 ヴァナ・ディール滞在記」(エンターブレイン刊)です。現在は絶版ですから入手は困難ですが、とにかく面白い紹介記事とはコレだ!と思わせる内容です。ゲームのプレイ日記ではありますが、ゲームのコトを知らなくても大丈夫。とにかく判りやすくて笑えて泣けて、素晴らしい文体だと思います。今でも時々読んじゃうくらい。そして今もまた読み直しちゃっているくらい。
当然私も影響を受けていて、ネタの被せ方とか脱線の仕方とか文末の遊び方とか、ずいぶんとパクらせて頂きました。パクったのかよ!ダメじゃん!いや違うじゃん!リスペクトじゃん!とか言いつつ、う〜んとうなりながら真後ろへひっくり返って卒倒する僕である。僕である、じゃねえよコラー!

まあ、そんな伝統芸に近いカンジでパクらせて頂いていますが、他にも影響を受けた作家さんも多いのであって、それは宮沢章夫さんや原田宗典さんでして、小説家としてもエッセイストとしても、そしてもちろん劇作家としても実に手練れで凄腕です。気になる方は検索してみて下さい。
なんか自分の手の内を晒すような危険なコトを書いていますが、それよりも少しでも多くの方々が永田さんや宮沢さんや原田さんの文章に触れるキッカケにでもなればと思いつつ、しめやかに終わる。トホホ。