2011/11/01

テシタル地上派 017 信濃町の坂の巻

なんか寒くなったり暑くなったり、やっかいな季節ですねえ。でも、朝晩はかなり寒くなってきて、嬉しいやら悲しいやらです。私は暑いよりは寒い方が好きなので。でも、いざ寒くなり始めると戸惑いますね。なんか急だったし。

さて、いろんな締切を仕上げて、やっと本格的なオフに入った私です。とか言いながら別な仕事も入っていますが、それについても近日ご報告したいと思います。
オフとなれば旅行ですよ。そう、例の新宿区への旅行です。まあ散歩ともいいますね。うん、散歩です。いや、フィールドワークですよ!
今やGoogle MapやStreet View、iOSアプリの「東京時層地図」や「今昔散歩」がある時代。PCやiPhoneがあれば東京各地の年代別地図も高低差地図も簡単に見られるんですよ。他にもいろんなアプリやWebサイトや書籍や地図がありまして、望んだ時代の地図や航空写真が見られます。それらを駆使すれば家に居ながらにしてその土地に行った気分になれます。

しかし! 実際に歩いて見なければ判らないモノがあるんですよ。ここで空気感とか言えればちょっとカッコイイかもしれませんが、なんかそれとも違う気がします。例えば坂道の傾斜具合などは実際に歩いてみないと実感できないじゃないですか。思ったよりもきついぞ、とか、ココからだとこういう景色が見えるんだな、とか。
あとはヒョイと覗いた細道の風景とかですかね。細い行き止まりの路地の真ん中に下水ブロックなんかがあると、ココは昔長屋だったのではないか、とか思いますし、やたらにマンホールがある曲がりくねった路地は暗渠なのではないか、とも思いますし。
家々の古び具合とか道の曲がり具合、石垣の高さや商店の品揃えなども実地で見てみないとピンと来ないモノなんです。それが判ったからといって何にも得はないのですが、個人的に納得できて安心するんですよ。何の役に立つのかと言いますと、人に「東京の凸凹と歴史」について話す時に役立ちます。そんなコトを興味深く聞いてくれる人も少ないですがね。

あ、そういえば先日、飲み屋で知り合いに目白にある、私の大好きな「のぞき坂」という急坂について話したら、その人はかつてその坂ぞいに住んでいたことがあって、やたらと盛り上がりました。そういうコトってあるんですなあ。相当に稀な例だとは思いますが、そんなコトもあるんだよってコトで。
この「のぞき坂」は「広くて長くて真っ直ぐな急坂」としては23区内としてはもっとも有名な坂です。車で降るとジェットコースター気分が味わえるんですよ。目白通りのセブンイレブンの角を曲がったところです。ちなみにココ。

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さて、新宿区でのフィールドワークですが、中央線や総武線に乗って、JR信濃町駅と四谷駅の間で北側を見ていると、車窓にこんな景色が見えます。

ああ、もどかしい! やはり走る電車から写真を撮るのは難しいですねえ。これも地図でお見せいたしましょう。

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この、南元会館の角から南に延びている一方通行、これが「新助坂」です。

かつてこのそばに「新助さん」が住んでいたから新助坂。まんまですね。おそらくかなり有名な人だったんでしょう。中々に急で真っ直ぐで好ましい坂です。この坂を下りきるとJR高架線にぶち当たりますが、左折して線路沿いを歩くと、また左手に今度は上り坂があります。こちらには名前が付いていません。が、こちらの方が良い坂なのですよ!


新助坂より細くて急で微妙に曲がっていて、なんか風情があるんですよね。


電車から見ても、こちらの坂の方が登り甲斐がありそうだったんですよ。そして実際にこちらの方が面白い坂でした。面白い坂ってのもどうかと思いますが、個人的には「良い坂」でした。

これらの坂からも判る通り、このあたりは高低差の激しい場所で、かなり入り組んだ地形です。現在の若葉通りには桜川という川が流れていましたが暗渠化されています。この桜川の流路がかつての「鮫ヶ橋谷町」であり、この「鮫ヶ橋」あたりも歩き、それについても書きたいのですが、こちらは言葉を選びながら書く必要がありそうなのでまたいずれ。

この日はあまり時間がなくてチョロっとしか回れなかったので、いつか改めて訪れてみたいと思います。