2013/05/14

地テシ:044 春の美術展

今年の三月、比較的時間に余裕があったので、今まであまり行けていなかった美術展などにも足を延ばしていました。美術館や博物館は大好きなのですが、行くとゆっくり見てしまうので時間が掛かるのですよ。するとずっと立ちっぱなしなので足が痛くなるため、本番中などは控えていたのです。なので行くタイミングを逸していました。
しかしこの春は割と暇。だったので、いくつか気になる美術展に行ってきました。三月のレポートを五月に書くという遅さなので、なんと既に会期が終了している企画があるという本末転倒ぶり。ですが、書くだけ書いておきますよ。

まずは府中市美術館で行われた「かわいい江戸絵画」。
既に終了しています。
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/kawaiiedo/

















 最近では日本語の「Kawaii」が世界的にも注目を集める中、日本人の持つ独特の「Kawaii感」を江戸時代の絵画、版画の中から見つけ出そうとする本展。とにかくカワイイ絵が満載でした。
最近のクールジャパン的な、あるいはアニメ的な可愛さではなく、なんとなく「ゆるキャラ」方向の可愛さを中心に、様々な角度から「かわいい」を探し出していきます。

「かわいい」の元の形である「かはゆし」は、恥ずかしいという意味の「顔映ゆし(かおはゆし)」から来ており、恥ずかしい気持ちを投影して「気の毒だ」という意味に変化し、よって「かわいい」と「かわいそう」は近似した音と意味を持つ。
そこから「いとおしい」とか「けなげ」とか「小さいもの」とかを「かわいい」と言う様になったそうです。そのような分類から見た「かわいい」や、形状やリズムからくる「かわいさ」など、数多くの作品で見せてくれました。

見ながら、やはり「マンガ」は日本人ならではの伝統なのだなあとか思いましたよ。円山応挙の描く虎が高橋留美子先生の作品に見えちゃうんだから。
http://www.google.co.jp/search?&q=円山応挙+虎&tbm=isch

まあとにかく、色んなタイプのカワイイ絵画がいっぱいでしたよ。私は前期にしか行きませんでしたが、後期には展示内容も一部変わっていたそうで、そちらも気になりましたね。
ただ、当然入っていると思っていた歌川国芳の「金魚づくし」が展示されていなかったのだけが残念です。
http://www.google.co.jp/search?&q=歌川国芳+金魚づくし&tbm=isch



そしてもう一つは国立新美術館の「カリフォルニア・デザイン1930-1965 "モダン・リヴィングの起源"」。こちらはまだ開催中、6/3まで。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/california/index.html






















 http://www.google.co.jp/search?&q=イームズ&tbm=isch
これらのイームズ・チェアなどを見ればピンと来る人もいるのでは。
奇しくもそのイームズ夫妻を題材にした映画「ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ」も5/11からミニシアター系で公開中です。
http://www.uplink.co.jp/eames/

ミッド・センチュリーとは字の通り「世紀の半ば」という意味で、1900年代の半ばにアメリカで起こった工業デザインの流行です。その頃は第二次世界大戦後半から戦後。「平和になった事による家具の爆発的需要」を「戦場にならなかったため余力のあるアメリカ」で「安くてシンプルでオシャレなモノ」を「合板やグラスファイバーなどの新素材」で作る、というのが基本的な流れです。
http://www.google.co.jp/search?&q=ミッドセンチュリーモダン&tbm=isch
要するにこんな感じの、我々が抱く「オシャレなアメリカ」風のデザインです。なんかツルッとした、ポップな色使い。オレンジとかグリーンとかね。

個人的にはアメリカドラマの「奥さまは魔女」とか「サンダーバード」とかを思い出したのですが、「サンダーバード」はイギリス制作でしたね。でも、なんかあんなイメージ。
あと、「日本万国博覧会」ですよ! 70年に大阪で開催された万博ですが、あの空気感がミッド・センチュリーだったような気がします。多分ちょっと違うけど。

おそらく、私が子供の頃の高度成長期、日本人がみんな憧れたあのアメリカの生活というのがこのミッド・センチュリーなのではないでしょうか。その記憶があるので、なんとなくいまだに私の心をくすぐるのかもしれません。


で、これらの展覧会に行ったのは、もちろんその展示が見たかったからで、まあ予想通り長時間見入ってしまったのですが、実はそれぞれついでに見ておきたかった施設が近所にあったのもまた事実です。
次回はそっちの方をご紹介したいと思います。