2017/01/26

地テシ:089 続・ちょっと音楽の話を 《1/24OA対応版》

テレビ東京「バイプレイヤーズ」(毎週金曜深夜OA)第二話も面白かったですね。今回は遠藤憲一さんと松重豊さんの二人がフィーチャー。共演NGな二人?ってのもありそうでコワい。でも、ラストトークで光石研さんが言っていた「館山で何かあるんですか!」の時の、キャストスタッフ全員の爆笑が感慨深い。


そんな松重豊さんがマスターを務めるFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」。例の漫画原作ドラマ「孤独のグルメ」(これもテレ東だ)のヒットからグッと知名度が上がった松重さんですから、こういう番組名なんだと思います。
思えば我らが座長いのうえひでのりが演出を務めたプロデュース公演「忠臣蔵ブートレッグ」(1995年)に松重さんがご出演なさった頃からの知り合いでして、長いつきあいではあります。とはいえ、舞台共演は「流れ姉妹〜たつことかつこ〜」(2005年、2010年再演)の一回しかありませんが、それ以来ドラマの仕事で一緒になったり出演舞台を見に行ったりするたびに、最近のオススメ音楽を教え合うという仲なのです。

そして1/24は二回目のOAでした。前回が洋楽だったので、今回は邦楽。といってもヒットチャートを賑わすような方向ではなく、ちょっとひねくれた邦楽さんたちでしたが、まあしょうがないよね、私がひねくれてるから。


一曲目は松重さんの選曲でRonny Jordanで「Heaven」(アルバム「At Last」収録)。



先週の最後の曲であるGURUの「No Time to Play」でもギターを弾いていたロニー。どうやら私が松重さんにご紹介したようです。覚えてないけど。
このRonny Jordanはジャズをベースに、フュージョンとかアシッドジャズとかクラブミュージックに広がる幅広い音楽を手がけているんです。端正で粋な音楽というのでしょうか、派手に強く出すのではなく、玄人好みのクールなギタリストです。オクターブ奏法を駆使するあたりがウェス・モンゴメリーを思わせるテクニシャンですよね。


その後からは、今、そしてこれから注目されそうな若いバンドをリクエストさせて頂きました。
二曲目は昨年デビューしたばかりの謎の覆面ユニット・Nulbalich(ナルバリッチ)で「NEW ERA」(アルバム「Guess Who?」収録)。デビューアルバムとは思えない程完成されたアルバムからのシングル曲。ドリーミーにディレイの効いたシンセと伸びやかなヴォーカルから始まるオープニングからエレピへと続く導入部がカッコイイ。ハネたバウンス系のリズムに乗った曲のなかでも楽器の出し引きが巧妙で、4コードと3コードループのシンプルな構成なのに飽きさせない作りになっています。



覆面ユニットなので、個人なのかバンドなのかすら判りませんが、見事な構成と手慣れたアレンジからタワレコなどでも大プッシュされており、早モノが好きな人々から注目されております。今後の作品にも注目です。


三曲目は2010年に札幌で結成されたポップなファンクバンド・カラスは真っ白で「ハイスピード無鉄砲」(ミニアルバム「すぺくたるごっこ」収録)。ハスキーでポップな女性ヴォーカルとファンクでパンクなバックトラックが闘うような不思議な音楽性が魅力的でとても気に入っていたのですが、残念ながらこの3月で活動を休止するようです。
http://acrowiswhite.com/news

「ハイスピード無鉄砲」というタイトルがなんとも語呂が良い。メンバーのテクニカルで確かな演奏技術とふわっとしたヴォーカルとが相まってこれからが楽しみだっただけに解散するのは残念です。



あと、こちらの「fake!fake!」という曲もカッコよくて、アニメのMVが超可愛い!



先週、今週と改めて聴いてみると、静かに始まってから、ドンッとバックトラックが入るタイプの曲が多いコトに気付きました。多分私がそういう曲が好きなんでしょうね。


さて、最後の四曲目は、ここにきて何故だか昔の曲を。高橋幸宏さんで「La Rosa」(アルバム「Saravah!」収録)。



このアルバムが発表された1978年はYellow Magic Orchestraがデビューした年。YMOといえば言わずと知れた日本のテクノポップバンドの元祖でして、そのメンバーである細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏の三人は、日本の音楽業界の中心に居続けるビッグネームです。YMOは日本のみならず世界でも注目されたのですが、そのデビュー直前に、この三人はすでにこの「Saravah!」において共演を果たしていたのです。

ユキヒロさんのフランス趣味が前面に押し出されたこのファーストソロアルバムは、オシャレで流麗でポップな名作です。中でも細野さんのベースプレイが圧巻!

細野さんのベースプレイが大好きなのはことあるごとに書いてきましたが、その中からかつて連載していたメールマガジン「貧弱ユビキタス」で細野さんがリーダーだったバンド「ティン・パン・アレー」について書いた文章を転載してみます。

『メンバーのテクニックも抜群です。キレがあるのにタメのある林立夫のドラムス、クリーンな音のストラトなのに妙に粘りのある鈴木茂のギター、控えめながら全体を包み込む松任谷正隆のエレピ。しかし、やはり特筆すべきは細野晴臣の恐るべきベースでしょう。いや、別に速弾きってワケでもないし派手ってワケでもない。でも、かすかに修飾音符が入る独特のフレージングと、正確無比なタイム感が物凄いんですよ』

荒井由実(ユーミン)さんの名曲「卒業写真」についてはこう書いています。

『例えば名曲「卒業写真」を聴くと、よく知ったメロディーとユーミンの声に心を奪われます。ホントに良い曲だ。卒業式で歌った方も多いかもしれません。でも、改めて聴くとバックトラック(伴奏)が物凄いコトになっていますよ。特にベース。細野さんが弾くベースラインが、ややもすれば歌の邪魔になる程に跳ねまくっています。でも、今までは気にならなかった。と言うことは邪魔にはなっていないんです。邪魔ではないんだけど、一度ベースが気になるともうそこから耳が離せません。もしオリジナル音源をお持ちの方がいらっしゃったら、一度ベースにだけ注意して聴いてみて下さい。ビックリするくらい跳ねていますから!』

細野さんのベースプレイを紹介したくて、でもさすがに「卒業写真」では有名すぎるから、この「La Rosa」を選んだんだと思います。ココでも細野さんの天才的なフレージングが光ります。もちろんユキヒロさんの軽快なドラムとアレンジも手がける教授の粋なキーボードも印象的です。

今回も番組公式ブログにて収録の模様をレポートして頂きました。
http://blog.fmyokohama.jp/yashoku/2017/01/17-ccb6.html
私のつたないおしゃべりをきちんとフォローして下さっています。ありがとうございます。

音楽好き仲間である松重さんと、久しぶりに思う存分音楽談義をさせて頂いて楽しかったんですよ。またこのような機会があればと思います。
お聴き頂きました皆様、ありがとうございました。まだの方は、公式HPから一週間以内ならタイムシフト視聴が可能ですよ。