2016/08/04

地テシ:081 「VBB」直前ですが「乱鶯」の話を

ああ、すみません。例によってまた長期間開いてしまいました。大丈夫です、生きています。今、長野県は上田市におります。いやあ、いいよね、盆地。山に囲まれてて。暑いけど。川が流れていて。暑いけど。

そんなこんなで気がついたら「VBB」のプレビュー初日が目前です。なんだかワサワサした作品になりそうです。上手く伝わっていないかもしれませんが、なんだかワサワサしそうなんです。どうぞお楽しみに。


で、その前に「乱鶯」についてですよ。もうずいぶんと前の話になってしまいましたが、「VBB」の前にザックリとまとめておきましょう。楽しかったけど色々と大変だったなあとか思い出しながらね。
「乱鶯」は初めての倉持裕脚本ということで、いつもと違うけど面白かったとか、いつもと違って物足りなかったとか、まあ判りやすく賛否両論でございましたが、まあ我々は楽しく過ごさせて頂きましたよ。

ご覧頂いた方ならお判りだと思いますが、私は序盤で死んでしまって、そこから先は幽霊での出演となりました。いやあ、これが中々大変だったのですよ。
幽霊での出演となればやはり「スッポン」での登場となるワケですが、それについてはこちらの連載「UFB:未確認ヒコー舞台」をお読み下さい。

http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/archives/47685858.html

ここでも書いておりますが、幽霊への変身が、まあ大変だったのですよ! 人間姿(けっこう病弱)は一幕二景の途中で退場して、次の幽霊(なんだか陽気)の登場は一幕五景。そこそこ時間はあります。あるんですが、やることが多い!

ハケましたら、そのまま衣裳部屋へ移動しながら脱ぎ始めます。片襷とか前掛けを外しながらね。衣裳部屋で衣裳を脱いで、そのまま床山部屋へ行って、カツラを外し、さらにマイクを一旦外します。そうしないと一枚目の羽二重が取れないからね。そう、今回は羽二重を二重にしているのです。羽二重についてはこちらをご参照下さい。

http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/archives/25512664.html

なぜ羽二重を二重にしているかというと、顔色が大幅に変わるから。人間時には病人でちょっと白めとはいえ、まあ肌色ですね。しかし、幽霊になるとほぼ真っ白ですから、白い羽二重も用意して頂いていたのです。で、その二種類を取り替えるのですが、その下には髪を束ねる用のベースの羽二重をしているのね。なので今回は羽二重を三枚用意して頂きました。ベース、肌色、白色とね。

そんなワケで、出番が終わったら即、衣裳もカツラもマイクも肌色の羽二重も取りまして、それからメイク替えです。顔はまだらに白くして、ゾンビのようなメイクをします。さらに、幽霊ですから手も腕も足も白く塗ります。メイクさんに白いファンデーションを用意して頂いたのですが、その減りが早い早い! 一週間に一個使い切るようなペースです。
ある程度メイクができたら、また床山部屋に行って白い羽二重を締めて頂き、衣裳部屋で幽霊の衣裳を着せて頂き、音響さんにお願いしてマイクを付け直して頂き、また床山部屋に戻って幽霊のザンバラカツラを載せて頂き、ほんでまた自分の楽屋に戻ってメイクの続きをするんですが、そうこうしている間に出番の目安となるセリフが聞こえるから、慌ててソデに走ります。これが一幕中盤から後半の私の流れ。ほら、結構忙しいでしょ。

だもんで、一二幕の間の休憩時間にメイクを仕上げます。もうちょっと丁寧にゾンビになるために。いや、ゾンビではないんだけど。幽霊なんだけど。まあ、できるだけ怖ろしげな容貌を目指しておりました。
二幕の最初の出番はスッポンから迫り上がってくるところ。なので、客席がホントに近いので、すぐ側のお客様が私の様相に驚いて悲鳴を上げたりすると大満足です。まあ、その後すぐに笑われるんですけどね。

あと、手を白く塗っているとホント大変ね。触るモノが全部白くなっちゃう。メイク道具はしょうがないとして、台本とかMacとかiPhoneとかiPadとか、楽屋で触るモノ全てが白くなっちゃうんですよ。今回、「VBB」の為に劇場に入ってメイク道具を並べていたら、なんだか全部白っぽくなっていたんで「乱鶯」のコトを思い出したってワケさ。ま、いつか落ちるさ、この白も。


というワケで、まもなく「VBB」が始まります。「乱鶯」とは全く違う、なんだかワサワサした舞台。平安時代から千年生きている吸血鬼がヴィジュアル系バンドのヴォーカルをしながら愛するかぐや姫の生まれ変わりを探すお話。なんだそれ! そうなんです。皆様には「なんだコレ!」と思いながらご鑑賞頂けますよう、スタッフキャスト一同、真面目にバカをしながらお待ちしております。

2016/03/25

地テシ:080 KUTO-10「骨から星へ」

気がついたらもう三月。気がついたらもう「乱鶯」の東京公演が始まっていて、気がついたらもう「乱鶯」東京公演も残り少なくなってきています。って気がつくの遅いな、俺。ええと、月日が経つのは速いものです。
「乱鶯」は「いのうえ歌舞伎《黒》」というコトでいつもとちょっと違う新感線でして、ネットでの評判をチラッと見たりすると「いつもとちょっと違って新鮮だ」という意見があったり「いつもとちょっと違って物足りない」という意見があったり、まあ要するに賛否両論ではありますが、やっている我々はとても楽しいのです。
古田くんがセンターで、劇団員もほぼ総出演となるいのうえ歌舞伎はおそらく当分は見られないと思います。残りのステージも少なくなってきております。気になっている方は、是非!

そんな公演中の私ではありますが、チラシを作らせて頂いた工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10「骨から星へ」を見に行って参りました。
この舞台、久保田浩さんと座長である工藤俊作さんが90分間ほぼ出突っ張りなのね。二人とも私より一つ年下の五十歳。劇中にも年齢に関する言及があり、ああ、彼らももう五十歳かぁとか思いましてね。二人ともかれこれ三十年くらいのつきあいで若い頃から知っているんですが、この二人の佇まいが実に良いんですよ。

そういえば、こんな素敵な大人たちも、かつて若い頃は二人とも「狂気の俳優」と呼ばれていたことを思い出しました。
トシさん(工藤さん)は舞台上のみならず私生活でも奇声を発する怪人でして、盟友である古田くんやじゅんさんからも恐れられていたほどです。
クボッティ(久保田さん)は当たり役である「羽曳野の伊藤」を初めとした「冷静な情緒不安定者」に定評があり、私生活でもどうにもおかしな人でした。

そんな狂気の俳優二人が、実に味のある大人になっていて、なんとも感慨深い気分になった公演でした。特にクボッティの巧さには改めて驚かされました。二人ともなんだか良い歳の取り方をしているなあって。

ちょっと大人な「いのうえ歌舞伎《黒》」を上演している我々としても、まあ歳を取るのも悪いコトじゃないんだなあとか思いながら見ていましたよ。そして、懐かしい関西出身の演劇人たち(先輩とか同輩とか後輩とか)ともたくさん会えて嬉しい一日でした。

「骨から星へ」は、京王井の頭線 駒場東大前駅から徒歩三分、こまばアゴラ劇場にて3/27まで。宣伝美術を担当させて頂いた縁もあって、ちょっと宣伝させて頂きました。チケットはまだまだあるそうですので、どうぞよろしくお願いいたします。

2016/01/06

地テシ:079 2016年と中島清之展

新年明けましておめでとうございます。2016年! 今年もよろしくお願いいたします。今年の一発目は2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」ですが、秋公演として宮藤官九郎さんが書くと発表されちゃいましたので、春と秋は新感線でよろしくお願いいたします!


毎年、可能ならばゲームしながらの年越しを心がけておりまして、没頭している内に気がついたら年を越していたというのが理想です。今年も「Fallout 4」を夢中でプレイしている内に気がついたら年を越していました。幸先の良い新年です。
以前にも書きましたREGZAを買ってからタイムシフト視聴が基本になっている私ですので、年末年始の特番もタイムシフトで観ています。今のところやっと年末特番を消化して、やっと新春特番に入りました。もう世間は新年気分は抜け始めているのに、私だけまだ新春気分です。

そんな新春気分の私ですが、新春早々、急に思い立って美術展に行ってきました。ネットで見つけて妙に気になった「横浜発 おもしろい画家:中島清之ー日本画の迷宮」(横浜美術館)です。
















あんまり日本画は見ないのですが、ちょっとコレは気になっちゃたのよ。なにやら面白そう!

というワケで新年から横浜に行ってきちゃいました。

中島清之とかいて「なかじまきよし」と読むらしいのですが、大正から昭和に掛けての日本画の大家でして、東京芸大の講師として教鞭を執ったこともある重鎮です。重鎮らしいのですが、この展覧会のタイトルである「おもしろい画家」というのが気になっちゃったんですね。

気になって行ってみたのが正解でした。確かに面白い。何て言うか、作風が固定していないんだよね。日本画をベースとしながら、洋画とか抽象画とかアンフォルメルとか、色んなムーブメントを採り入れて、どんどん作風が変わっていくんですよ。しかも、一枚の作品の中にそれが混ざっちゃう。
日本画の特徴である、輪郭線を描いちゃうとか遠近法を使わないとか暈かしを使うとか、そういう手法と洋画の手法を混ぜちゃう。物凄く精密に描いてある部分があるかと思いきや、物凄くデフォルメされた部分が一枚の中にあったりします。
着物の柄や生物の皮膚模様を精密に描くのに背景がモヤッとしてるんだとか、一度描いた精密な背景を塗りつぶしちゃうんだとか、そこに金箔貼っちゃうんだとか、輪郭をピンクで描いちゃうんだとか、その角度とこの角度が混在しちゃうんだとか、コレはもうキュビズムなんじゃないかとか、アクリル画みたいに塗りつぶしちゃうんだとか、そこしか描かないんだとか、漫画みたいな表現するんだとか、なんだかもう何でもアリな作風なんですよ。

初期のいかにも日本画な作品も良いのですが、後期の大判の作品、例えば一面に笹の葉を描いた「緑扇」なんかは細密な日本画とミニマル・アートが融合したような作風で見応えがあります。
他にも見所が多くて、実に刺激的な展覧会でした。1/11には終わっちゃうから、もしお時間がございましたら是非。

そして、ついでのようですが、同時に開催している「横浜美術館コレクション展」の「大正・昭和の横浜から」には多くの美しい陶器が展示されているのですが、その中の宮川香山による「記念杯(一対)」という杯がむっちゃ可愛い! 杯を白兎と茶兎(だか鹿だか狸だか)に見立てた作品なのですが、コレを紹介したくてネットを探しまくっても写真がどこにもないんですよ。こんなにカワイイのに! なので、是非とも実物を見て頂きたいのですよ。

よろしければ、新年には横浜に行ってみてくださいませ。じゃ、今年もよろしくです〜!

2015/12/31

地テシ:078 2015年ももう終わり

えー、年末ですね。大晦日ですね。ネルケプランニング「夜の姉妹」にはいっぱいのお運びありがとうございました。無事に大阪公演も終わりまして、私もおばさんおばさんと言われながら終わりました。懐かしの近鉄アート館は実に楽しかったですよ!


そんな2015年ももう終わり。なので今年の仕事でもまとめておきましょうか。

まずは冬に「真田十勇士」TBS版の再演で幕を上げ、春から秋までずーっと「五右衛門vs轟天」! 怒濤の80ステージ! 秋からはちょっと規模を小さくして「芸祭」と「新感線MMF」と朗読劇「ポポイ」と「夜の姉妹」の四連発。

舞台ではこんな感じ。今年は映像の仕事がなかったのね(取材を除く)。あ、あったわ。来年公開のある映画にホンの一瞬だけ出ています。出来上がったら出てないかもしれないけど。

レギュラーの仕事としては、毎度お馴染み演劇ぶっくの「人物ウォッチング」が隔月連載、日刊☆えんぶの「未確認ヒコー舞台:UFB」が毎月連載(http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/)です。
他にも「大☆新感線博」にて配布された復刻版会報「めぐり」を作ったり、プロジェクトKUTO-10さんの「骨から星へ」のチラシを作らせて頂いたり(http://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/)。

こんな感じでしょうか。忘れてない? 何か大事な仕事忘れてない?

ちなみに今年観た舞台は47本。例年よりちょっと少なめです。


来年は2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」から始まります。ていうか、その稽古から始まります。
2016年もよろしくお願いいたします! では良いお年を! さあ年越しで「Fallout 4」やるぞ!

2015/12/25

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のおはなし

ネルケプランニング「夜の姉妹」大阪公演も始まりまして、ちょっと狭い劇場で、東京よりもグッと濃密な空間で、グッと濃密な演劇が出来ているような気がします。やっぱり演劇専用の劇場というのは有り難いですね。しかも久しぶりの劇場だし。昔のまんまの劇場でお待ちしております。

そんな「夜の姉妹」の話もそこそこに、今日はやっと見た「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の話をしたいんですよ。できる限りネタバレはしないようにしますが、ちょっとは出ちゃうかもしれないから気をつけて下さい。


















まあ、一言で言うと「楽しかったです」という小学生みたいな感想しか出ないんですけど。どうやら賛否両論いろいろな感想が出ているようですからいまさら私がなにやら言っても仕方がないとは思いますが、まあ見た感想は人それぞれ。それは映画だけでなく我々の演劇作品についても同様のことが言えると思います。作品は観た人のモノ!
観た時の気分とか時代とか天気とか、まあ色々な要素で感想というのは変わるモノでして、それはそれは純粋にパーソナルなモノになるんですよ、感想ってのは。だからこそ、第一作(EP4)から映画館で観ている私個人としての感想は「楽しかった」だという話ですね。

ストーリーに関しては、ちょっとでも話しちゃうと先入観が入っちゃうから言えませんが、旧三部作(EP4〜6)が好きな人なら楽しめるんじゃないでしょうか。オマージュというかリスペクトが過ぎるのは新監督J・J・エイブラムスの名刺代わりの挨拶だと思いますが、今後の展開であっさりと裏切ってくれても、あくまでリスペクトを続けてくれても、どっちにしても私は構いません。好きなように料理すれば良いと思います。それこそ観客は好き勝手言うものですから。

なんだかツッコミどころの多い作品ではあるとは思いますが、まあいいじゃん、楽しかったんだから! ええと、個人的にはア○○○提督が再登場したのが嬉しかったんですけど。ていうか生きていたんだ魚顔提督! あ、ネタバレだ。

今後のシリーズも楽しみですね。どう転がっていくのやら!