2017/11/17

地テシ:095 「天下城」

「ツキドクロ」が近づいてきてバタバタしている粟根です。今回は上弦の月・下弦の月というダブルチーム制でお待ちしております。同じ脚本、同じ演出なのに、演者が違うと随分と印象が変わるものですね。ていうか、厳密にはまったく同じ演出というワケではないんですね。ほぼ同じなんですが、やはりちょっとは違いがあるんですよ。特にベテラン組はちょいちょい仕掛けてきていますので、果たしてどうなりますやら。ぜひ劇場でお確かめ下さい。

そして、バタバタついでに、仕事の告知も忘れておりました。今年の春にも出演いたしましたラジオドラマ・NHK-FM青春アドベンチャーの現在オンエア中の作品「天下城」に出演しております。
詳しくはこちら。

http://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2017020.html

戦国末期、「不落の城」造りを目指した石積み職人の話です。話の中には実在した城造り集団「穴太衆(あのうしゅう)」が出てくるのですが、いってみれば「髑髏城の七人」に出てくる「熊木衆」のモデルのような集団です。他にも織田信長やら木下藤吉郎(豊臣秀吉)やら安土城やらも出てきまして、まるで「髑髏城の七人」の前日譚みたいな話ですので、予習がてら是非とも試聴して頂きたい作品です。

でも、すでにオンエア中! 今週と来週! 序盤を聞き逃した! しかし、ご安心下さい。この作品は「聞き逃し対応」です! 一週間以内なら上記の公式ページで聞くことが出来るのです! まだ間に合う!
横田栄司さん、岡幸二郎さんを始めとする名優たちが二週にわたってお送りする、戦国に生きた熱き職人の生き様を是非ともお楽しみ下さいませ!

2017/09/19

地テシ:094 「サブマリン」

どうも、お久しぶりです。粟根です。「トリドクロ」で体重が5kgほど減ってしまった粟根です。体脂肪が(ウチのタニタが言うには)11%台に落ちてしまった粟根です。そして徐々に戻りつつある粟根です。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

長かった「トリドクロ」もなんとか無事に終わり、次は東京ハートブレイカーズ「サブマリン」です。9/19からっていうか今日から、9/25まで、吉祥寺STAR PINE'S CAFEにて。
公演に関する詳しいことはこちら。
http://www.tokyoheartbreakers.com/stage/submarine/index.html
ライブハウスでの公演ですので、お酒とか飲みながらご覧頂けますよ。もちろん、出演者による演奏もあります。

前回も書きましたが、今作は伊坂幸太郎さんの小説の舞台版。罪を犯してしまった少年たちと、なにやらバタバタしながらも心優しい家庭裁判所の調査官の物語。確かにちょっと胸苦しい一面もありますが、全体としては軽やかに演じられていきます。それほど堅苦しい感じにはならないと思いますので、気軽にお越し下さいませ。

正直に言いまして、私の出番は少ないですが、色んな役でチョコチョコ出ています。そして、久しぶりにベースを弾きます。四年前にも使ったIBANEZ SR4XXV-VNFを引っ張り出しました。良い音がするんですよ。でも、やっぱりヘタなんですよ。すみません。

「トリドクロ」とは打って変わって小さなハコで短い公演。ですが、そのぶん濃密な公演になると思いますので、どうぞお楽しみに!

2017/07/29

地テシ:093 「トリドクロ」と「サブマリン」

いやあ、またしても長い間が空いてしまいました。すみません。色々と忙しいのよ、私も。主に稽古と舞台とゲームで。ゲームかよ! ゲームだよ!

そんなこんなの夏。「髑髏城の七人 Season鳥」の幕も無事に揚がりまして、もう一ヶ月も経ちました。でも半分です。ドタバタしながら、でもなんとかみんな無事にやっております。
それに関連して、TBSさんの公式ページにて稽古場レポートであるアワブロ(http://www.tbs.co.jp/stagearound/toridokuro/blog/)や、新感線公式Facebookで劇場近辺のマニアック情報をお届けする「都のたつみ・東京の右下」(https://www.facebook.com/gekidanshinkansen/)などの連載も書いておりますよ。よろしければご覧下さいませ。
すでに皆様の興味がカゼドクロやツキドクロに向かってしまっているのではという心配もありますが、トリドクロも9/1まで上演してますよってコトで。

そしてその9/1を過ぎれば私は次の舞台の準備に入ります。東京ハートブレイカーズ「サブマリン」は9/19から9/25まで、吉祥寺STAR PINE'S CAFEというライブハウスで行われる公演です。
東京ハートブレイカーズは首藤健祐さん主宰の劇団で、最近では作中に出演者によるライブ演奏シーンが入るのが特徴。なのでライブハウスでの公演なのですよ。2013年には私も「サイレント・フェスタ」という作品に参加させて頂きました。

今作は伊坂幸太郎さんの小説「サブマリン」の舞台版でして、家庭裁判所の調査官と少年たちの物語です。以前に東京ハートブレイカーズでも舞台化した、同じ伊坂さんの連作短編集「チルドレン」の続編ですが、前作を読んでいなくても大丈夫。伊坂さんらしい個性的なキャラクターたちの飄々としたやりとりが印象的な小説です。もちろん、舞台をご覧になるうえで原作を読んでいなくても大丈夫です。

公演に関する詳しいことはこちら。
http://www.tokyoheartbreakers.com/stage/submarine/index.html

ライブハウスですが、今回は全席指定席制。ですので、開演時間までにお越し下さればちゃんと席はあります。
それと、9/20,21,22のウィークデー公演は特典が付くそうです。
そのあたりについて詳しくはこちら。
http://www.tokyoheartbreakers.com/stage/submarine/info.html

プレオーダー期間は7/29(土)12:00から8/5(土)18:00までとなっておりますのでお早めに!

家裁調査官と少年たちの、罪と罰の物語。ではありますが、決して堅苦しい話ではなく、とはいえ考えさせられるコトも多い作品ですが、魅力的なキャラクターたちが織りなす軽快なやりとりが素敵な小説ですから、きっと舞台も面白くなると思います。直前の告知となって心苦しくはありますが、よろしければお越し下さいませ!

2017/04/26

地テシ:092 「スキップ」と「きりしたん算用記」

「春宵〜読ミビトツドイテ」から一ヶ月。そろそろ皆さんお待ちかねのゴールデンウィークがやってきますね。そして! NAPPOS PRODUCE「スキップ」も始まりますよ!

http://napposunited.com/skip/

13年前に演劇集団キャラメルボックスが上演した名作舞台の再演です。初演の脚本と演出をベースに、更にブラッシュアップされた今作。出演者も岡田達也君以外が一新されています。
北村薫さんの名作小説の舞台化でして、北村ファンである私も納得の面白さだった初演から13年。元国語教師が書いた小説を、元国語教師が演出する、国語教師のお話。初演に負けない面白さになっていると思います。若干枚数ではありますが、当日券も出るそうですので、気になる方は公式HPから電話予約に挑戦してみて下さい。あと、原作小説も面白いので、是非。

そして、その「スキップ」が終わった直後の5/8〜12にはNHK-FMのラジオドラマ・青春アドベンチャー「きりしたん算用記」にも出演いたします。毎日22:45〜23:00の深夜に15分ずつの連続ラジオドラマです。

http://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2017009.html

久しぶりのラジオドラマでしたが、大塚千弘さんなど知り合いも多く、楽しくやれました。迫害されつつある戦国末期のキリシタンと、後の和算隆盛に繋がっていく算術とが不思議な縁で繋がっていく物語です。
少々聞きにくい時間かもしれませんが、全国のラジオで聴けますので、どうぞよろしくお願いいたします。

現在、IHIステージアラウンド東京では劇団はハナドクロの上演中ですし、そうこうするうちにトリドクロの稽古も始まります。

http://www.tbs.co.jp/stagearound/toridokuro/

昨冬の暇さ加減が嘘のように春から急に忙しくなってきました。体調に気をつけて頑張っていきたいと思います。

2017/03/23

3/22

この3/22はゼータクチクvol.2の初日の幕も開いたし、本編には出ていない「シン・ゴジラ」のディスクも発売されたけど、実は「VBB」のディスク発売日でもあったのだな。忘れてた。
シン・ゴジラ本編には出てないけど、ゼータクチクにもVBBにもちゃんと出てるぜ、俺!

2017/03/22

ゼータクチク vol.2「春宵・読ミビトツドイテ」開幕!

いよいよ3/22から始まりますよ!
ゼータクチク vol.2
「春宵・読ミビトツドイテ」
3/22(水)〜26(日)
池袋・cafe&bar木星劇場

https://twitter.com/teamhandy_aorz

ほぼ完売でしたが、客席を組み直してもうちょっと席数を増やしたので、全日数枚は当日券が出るそうです。予約はしてないけど行ってみたい、という方は挑戦してみてはいかがでしょうか?


ただ、場所がちょっと判りにくい。私も苦手な池袋西エリア、何度行っても覚えられない西エリア、魔窟と呼ばれた西エリア。いや、呼ばれてはいませんが。

まず、地上から行かれる方へ。
池袋駅西口から正面の大通りの左側を真っ直ぐ歩いて、池袋マルイシティを越えたら、交番のある変形交差点を左斜め方向の立教通りに入ってください。そしたらすぐ次の角の右側、135酒場さんの地下です。



地下から行かれる方ならもっと簡単です。池袋地下街の一番端っこ、C3出口から出て右に曲がったらすぐです。

更に! 入り口も判りにくいのです! なんてこったい! ええと、135酒場さんの角の手前右側にある自動ドアに入って正面です。路上に看板とか出るのかどうか判りませんが、とにかく見落としやすいので、135酒場さんまで行っちゃったら、五歩ほどお下がりください。その右側です。六川不動産さんのあるビルの地下ですよ! お待ちしております!

あとね、ついに「シン・ゴジラ」ディスクが発売されましたね。気になる人はスペシャル特典ディスク付きのを買えば良いんじゃない?

2017/03/07

エフエム世田谷「劇ナビ!!」

この三月末に上演されるゼータクチク vol.2「春宵・読ミビトツドイテ」の宣伝として、エフエム世田谷の「劇ナビ!!」の収録を行ってきました。オンエアは3/8(水)の夜10時から。もう明日だよ!
出演者のうち、草彅智文くん、亀山ゆうみさん、そして私がゲストとして喋ってきました。ナイスなトークで司会をして下さったのは植本潤さん。あれ? 結果的に出演者の四人ともじゃん!

世田谷近辺の方ならFMラジオで聴けますが、それ以外の方でも大丈夫。公式ホームページhttp://www.fmsetagaya.com/にアクセスして頂き、右上の「click here!」をクリックして頂ければ聴けますよ。
ただし、タイムシフトではないのでその時間にしか聴けませんし、radikoなどのアプリでは聴けません。そのあたりだけご注意ください。

この公演の謎の一端が明らかになると思いますので、是非!

2017/02/20

わかった!

先日ご紹介した、Nulbarichの「New Era」ですが。




コレ、多分、10ccの「I'm not in Love」の現代的解釈だ!



勝手な思い込みかもしれないけどね……。

2017/02/10

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

ちょっと短く映画の話を。

今日、ティム・バートン監督の「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を、「4DX」で見てきたのですが。




ダーク・ファンタジーでもSFでもある不思議なこの作品と、色んなギミックのある4DXとの親和性の高さに驚いたので、思わず書いてしまいました。詳しく書かないけど、もうね、凄いよ!

公式ページはこちら。

イギリスで、爆撃から逃れる、という設定から、コニー・ウィリスのオックスフォード大学史学部シリーズを思い出したりしました。こちらも面白いので、是非。

2017/02/07

【緊急告知】ゼータクチク vol.2「春宵・読ミビトツドイテ」

ええと、急に決まったことなのですが、「スキップ」の前に、三月下旬にも舞台に出ることになりました。


ゼータクチク vol.2「春宵・読ミビトツドイテ」
3/22(水)〜26(日)
池袋・cafe&bar木星劇場

https://twitter.com/teamhandy_aorz
チケットのご予約はこちらから↑


「真田十勇士」の時に殺陣を指導して頂いたTEAM HANDYさん。ACTACTIONというアクションバリバリの公演も行っていらっしゃるのですが、それとは別に、小さなスペースでの芝居公演を行っているのが、このゼータクチク。

その第二弾に出演することが決まりました。本当に、突然に。
演出はいつもお世話になっているリリパットアーミーIIのわかぎゑふさん。出演はTEAM HANNDYの草彅智文さんと亀山ゆうみさん。そして植本じゅねと私。

ホントに小さな劇場でして、キャパは30人くらい。目の前がステージです。その分、濃密な体験となることでしょう。

これだけの情報ではどんな舞台になるのか、想像がつかないかもしれません。大丈夫。私にもよく判りません。なにしろ急に決まったもんで。

どんな舞台になるのかは、徐々に判っていくと思います。ていうか、私が知りたいです。
週末は混んでいるから、前半がオススメですよ!




2017/02/05

地テシ:091 もうちょっと音楽の話を

春に上演されますNAPPOS PRODUCE「スキップ」の公式HPで、作・演出の成井豊さんと共演の岡田達也さんとの座談会が掲載されました。まだまだ先の公演ですが、徐々に情報が出ていきますので、ジリジリとお楽しみください。
http://napposunited.com/skip/
さらにもう一つ、春の予定が飛び込んできましたが、それについては次回!

さて、私の好きな音楽を紹介していくシリーズですが、そんなシリーズだったのかと私も驚いていますが、松重豊さんの番組・FMヨコハマ「深夜の音楽食堂」に出てしまったお陰で音楽談義が止まらなくなってしまいました。すみません。まさにチラシの裏というか、「今これをプレイしているよ。今のジョブはこれ」みたいな話になってしまっていましてすみません。音楽ネタはこれで一旦終了するから!


昨年の秋に定額制音楽サービス「Spotify」が日本でも始まりまして、丁度ツアー中で長いホテル暮らしだったもんですから重宝させて頂きました。そして今でも家ではずっと垂れ流しに聴いています。
あくまで個人的にはですが、同じく定額サービスであるApple Musicよりも使いやすいように思います。できることはほぼ同じなのですが、プレイリストに含まれる曲数がSpotifyの方が多くて垂れ流しにしやすいんですよ。
あと、Apple Musicだと、自分のライブラリと一括に管理されちゃうから、自分で買った音楽かどうかが判りにくくなってしまうのがちょっと困るってだけなんですけどね。

そんなワケで、Spotifyのお陰で今まで全く知らなかったアーティストが芋づる式に発見できて、嬉しいやら忙しいやらの日々です。ただ、レアすぎてタワレコにもamazonにもCDがないのが多くて困っています。


さて、なぜだか始まっちゃった好きなアーティストをただただ羅列するシリーズの洋楽篇です。あまり幅広くすると大変なので、「深夜の音楽食堂」でご紹介したアシッド・ジャズからソウル、クラブミュージックのあたりからにしましょう。
番組ではFive Point PlanShirma RouseGURUをリクエストしましたが、詳しくはこちらを。
http://awanemacoto.blogspot.jp/2017/01/088117oa.html


まずは、Shirma Rouseと同じくSweet Soul Recordsからアルバム「The Golden Sessions」をリリースしているWeeland & the Soul Collective



ヨーロピアン・アーバンソウルということで、オシャレかつグルーヴィ。ヨーロピアン・ソウルといえばイタリアのCamera Soulや北欧AORのOle BørudSamuel Ljungblahdもカッコイイですよ。


ヨーロッパ繋がりで、イギリスのブレイクビーツ、ファンク系のFlevansもクールです。



ベーシストらしいのでカッコイイベースラインも印象的なのですが、何かのサンプリングっぽいシンプルなドラムループがカッコイイ。こういうスネアの音が大好きなんです。あるよね、スネアの音だけで好きになる曲。



それから、アシッド・ジャズで忘れてはいけないバンド・Incognito。ていうか、アシッド・ジャズを流行らせたのはIncognitoのリーダー・Blueyですからね。



アシッド・ジャズ系では、他にもThe Brand New HeaviesDown to the BoneJames Taylor QuartetCorduroy、さらにはJamiroquaiなどが定番系。あと、最近知ったのがBrooklyn Funk Essentialsthe Rebirth



ジャズ・ファンク系ならまずはHerbie Hancock! 他にもJohn ScofieldSpeedometerthe New Mastersoundsthe Baker Brothersなど、枚挙にいとまがありません。私が大好きだから!
ちょっと変わり種では、ベースレス・オルガントリオ・Souliveは各メンバーのソロや別バンドも含めてカッコイイ。





ファンク系ではニューオーリンズの暴れ馬・Galactic



ファンク系ならJBことJames BrownBootsy Collinsを始め、最近ではMark RonsonFunkshoneCookin' on 3 Burnersなんかが超ファンキーでお薦めです。


ええと、ホントにたくさんただただ羅列しましたが、何か気になるアーティストがございましたら検索してみてくださいませ。ほとんどが何らかの方法で試聴できるはずです。SpotifyとかApple MusicとかYou TubeとかSoundCloudとかでね。

2017/01/27

地テシ:090 さらにちょっと音楽の話を

松重豊マスターのFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」にゲストで呼んで頂いたこの冬ですが、ちょっと音楽について色々と考えた冬でもありますので、松重さんとの会話に出てきた最近お気に入りのアーティストのことを忘れないうちに書いておこうと思います。

すでに二週続けて音楽の話をしちゃったけど! もういいよって思うかもしれないけど! あんまり興味ないんだけどとか思われてるかもしれないけど! こういうのは勢いですからね。ザッとサクッとご紹介しておきます。


まずはつい先日ニューアルバムを発表したばかりのSuchmos。一般のニュース番組に取り上げられたり、軒並みの音楽雑誌の表紙を飾ったりしている、今話題のバンドです。キーワードとしてはやはりジャズ、ソウル、ヒップホップをミクスチャーしたバンド、という取り上げられ方が多いようです。

中でも有名なのは、ホンダのVEZELのCMで使われたこの「STAY TUNE」ではないでしょうか。



でも、個人的にはこちらの「MINT」の方が好きなんですけどね。



グルーヴィーなバックトラックと、スモーキーなヴォーカル。これからも注目のバンドだと思います。


また、私の直前に番組のゲストとして来たCeroさんも格好いいんですよ。



リラックスした雰囲気の中にもちょっとひねくれた感じの漂う、クセになるテイストのバンドです。これもまた新しいJ-POPのカタチなんじゃないかなとか思います。


そして、松重さんもイチオシのポストロックバンド・D.A.N.



揺蕩うような不思議なビートなのに緊張感あるトラック。同じく日本のバンドであるSPECIAL OTHERSとか宇宙コンビニとかに近いストイックな魅力があります。







女性ヴォーカルも忘れてはいけません。番組では「舌足らず系」とか言っていますが、いわゆるウィスパーヴォイスですね。カラスは真っ白のヤギヌマカナさんを形容する時に舌足らず系と表現しましたが、その系統の声が好きなんでしょう。
有名な人で言えばカヒミ・カリィさんとかCHARAさんとか、ああいう囁き声でちょっと舌足らずな感じ、たまらないんですよね。

ウィスパー系といえば、最近のアーティストでは番組でも言っていた相対性理論とかパスピエとか流線型とか。
他にもフレネシとかi-depとかLampとか。
もう羅列しているだけですけども。気になる人は検索してみてください。全部カッコイイから!


あと、相当に昔の曲で、しかもそれほど有名なアーティストではないのですが、miyako kobayashiさんのウィスパーヴォイスは大好きでしたねえ。




ああ、邦楽を紹介するだけでいっぱいになってしまいました。では、洋楽はまたの機会に。ていうか、ただ私の好きな曲を垂れ流しているだけなんですけどもね。

2017/01/26

地テシ:089 続・ちょっと音楽の話を 《1/24OA対応版》

テレビ東京「バイプレイヤーズ」(毎週金曜深夜OA)第二話も面白かったですね。今回は遠藤憲一さんと松重豊さんの二人がフィーチャー。共演NGな二人?ってのもありそうでコワい。でも、ラストトークで光石研さんが言っていた「館山で何かあるんですか!」の時の、キャストスタッフ全員の爆笑が感慨深い。


そんな松重豊さんがマスターを務めるFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」。例の漫画原作ドラマ「孤独のグルメ」(これもテレ東だ)のヒットからグッと知名度が上がった松重さんですから、こういう番組名なんだと思います。
思えば我らが座長いのうえひでのりが演出を務めたプロデュース公演「忠臣蔵ブートレッグ」(1995年)に松重さんがご出演なさった頃からの知り合いでして、長いつきあいではあります。とはいえ、舞台共演は「流れ姉妹〜たつことかつこ〜」(2005年、2010年再演)の一回しかありませんが、それ以来ドラマの仕事で一緒になったり出演舞台を見に行ったりするたびに、最近のオススメ音楽を教え合うという仲なのです。

そして1/24は二回目のOAでした。前回が洋楽だったので、今回は邦楽。といってもヒットチャートを賑わすような方向ではなく、ちょっとひねくれた邦楽さんたちでしたが、まあしょうがないよね、私がひねくれてるから。


一曲目は松重さんの選曲でRonny Jordanで「Heaven」(アルバム「At Last」収録)。



先週の最後の曲であるGURUの「No Time to Play」でもギターを弾いていたロニー。どうやら私が松重さんにご紹介したようです。覚えてないけど。
このRonny Jordanはジャズをベースに、フュージョンとかアシッドジャズとかクラブミュージックに広がる幅広い音楽を手がけているんです。端正で粋な音楽というのでしょうか、派手に強く出すのではなく、玄人好みのクールなギタリストです。オクターブ奏法を駆使するあたりがウェス・モンゴメリーを思わせるテクニシャンですよね。


その後からは、今、そしてこれから注目されそうな若いバンドをリクエストさせて頂きました。
二曲目は昨年デビューしたばかりの謎の覆面ユニット・Nulbalich(ナルバリッチ)で「NEW ERA」(アルバム「Guess Who?」収録)。デビューアルバムとは思えない程完成されたアルバムからのシングル曲。ドリーミーにディレイの効いたシンセと伸びやかなヴォーカルから始まるオープニングからエレピへと続く導入部がカッコイイ。ハネたバウンス系のリズムに乗った曲のなかでも楽器の出し引きが巧妙で、4コードと3コードループのシンプルな構成なのに飽きさせない作りになっています。



覆面ユニットなので、個人なのかバンドなのかすら判りませんが、見事な構成と手慣れたアレンジからタワレコなどでも大プッシュされており、早モノが好きな人々から注目されております。今後の作品にも注目です。


三曲目は2010年に札幌で結成されたポップなファンクバンド・カラスは真っ白で「ハイスピード無鉄砲」(ミニアルバム「すぺくたるごっこ」収録)。ハスキーでポップな女性ヴォーカルとファンクでパンクなバックトラックが闘うような不思議な音楽性が魅力的でとても気に入っていたのですが、残念ながらこの3月で活動を休止するようです。
http://acrowiswhite.com/news

「ハイスピード無鉄砲」というタイトルがなんとも語呂が良い。メンバーのテクニカルで確かな演奏技術とふわっとしたヴォーカルとが相まってこれからが楽しみだっただけに解散するのは残念です。



あと、こちらの「fake!fake!」という曲もカッコよくて、アニメのMVが超可愛い!



先週、今週と改めて聴いてみると、静かに始まってから、ドンッとバックトラックが入るタイプの曲が多いコトに気付きました。多分私がそういう曲が好きなんでしょうね。


さて、最後の四曲目は、ここにきて何故だか昔の曲を。高橋幸宏さんで「La Rosa」(アルバム「Saravah!」収録)。



このアルバムが発表された1978年はYellow Magic Orchestraがデビューした年。YMOといえば言わずと知れた日本のテクノポップバンドの元祖でして、そのメンバーである細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏の三人は、日本の音楽業界の中心に居続けるビッグネームです。YMOは日本のみならず世界でも注目されたのですが、そのデビュー直前に、この三人はすでにこの「Saravah!」において共演を果たしていたのです。

ユキヒロさんのフランス趣味が前面に押し出されたこのファーストソロアルバムは、オシャレで流麗でポップな名作です。中でも細野さんのベースプレイが圧巻!

細野さんのベースプレイが大好きなのはことあるごとに書いてきましたが、その中からかつて連載していたメールマガジン「貧弱ユビキタス」で細野さんがリーダーだったバンド「ティン・パン・アレー」について書いた文章を転載してみます。

『メンバーのテクニックも抜群です。キレがあるのにタメのある林立夫のドラムス、クリーンな音のストラトなのに妙に粘りのある鈴木茂のギター、控えめながら全体を包み込む松任谷正隆のエレピ。しかし、やはり特筆すべきは細野晴臣の恐るべきベースでしょう。いや、別に速弾きってワケでもないし派手ってワケでもない。でも、かすかに修飾音符が入る独特のフレージングと、正確無比なタイム感が物凄いんですよ』

荒井由実(ユーミン)さんの名曲「卒業写真」についてはこう書いています。

『例えば名曲「卒業写真」を聴くと、よく知ったメロディーとユーミンの声に心を奪われます。ホントに良い曲だ。卒業式で歌った方も多いかもしれません。でも、改めて聴くとバックトラック(伴奏)が物凄いコトになっていますよ。特にベース。細野さんが弾くベースラインが、ややもすれば歌の邪魔になる程に跳ねまくっています。でも、今までは気にならなかった。と言うことは邪魔にはなっていないんです。邪魔ではないんだけど、一度ベースが気になるともうそこから耳が離せません。もしオリジナル音源をお持ちの方がいらっしゃったら、一度ベースにだけ注意して聴いてみて下さい。ビックリするくらい跳ねていますから!』

細野さんのベースプレイを紹介したくて、でもさすがに「卒業写真」では有名すぎるから、この「La Rosa」を選んだんだと思います。ココでも細野さんの天才的なフレージングが光ります。もちろんユキヒロさんの軽快なドラムとアレンジも手がける教授の粋なキーボードも印象的です。

今回も番組公式ブログにて収録の模様をレポートして頂きました。
http://blog.fmyokohama.jp/yashoku/2017/01/17-ccb6.html
私のつたないおしゃべりをきちんとフォローして下さっています。ありがとうございます。

音楽好き仲間である松重さんと、久しぶりに思う存分音楽談義をさせて頂いて楽しかったんですよ。またこのような機会があればと思います。
お聴き頂きました皆様、ありがとうございました。まだの方は、公式HPから一週間以内ならタイムシフト視聴が可能ですよ。

2017/01/20

地テシ:088 ちょっと音楽の話を 《1/17OA対応版》

新年早々の「トリドクロ」出演情報に続いて、今春の出演情報が解禁になりました。
NAPPOS PRODUCE「スキップ」は北村薫さんの名作小説「スキップ」の舞台版。13年前にキャラメルボックスで上演された作品を、同じく成井豊さん脚本・演出でお届けします。2017年4月26日(水)〜5月5日(金・祝)にサンシャイン劇場にて。今作は東京のみの上演となりますが、GWの旅行気分でお越し頂けましたら幸いです。
詳しくはこちら。
http://napposunited.com/archives/807

さて、突然ですが、テレビ東京って面白いなあと思うんです。一応民放五大キー局の一つであるにもかかわらず、なんとなくひねくれているというか自虐的というか、一種アウトロー的な風格を漂わせているあたりが面白いですよね。
オンエアされる番組も、低予算を逆手にとって捻ったアイデアの作品が多いように思われます。

そんなテレビ東京で1/13から始まったドラマ24「バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」が面白いんですよ。出演は遠藤憲一・大杉漣・田口トモロヲ・寺島進・松重豊・光石研という、今やドラマ・映画には欠かせない名脇役たち。この一癖も二癖もあるおじさんたちが本人役で出演し、一つ屋根の下で共同生活をするというとんでもない設定。当然の如くただではすまず、第一話から大騒動。

私も田口トモロヲさんと松重豊さんとは共演経験があるので余計に気になるのよ。しかもみんな本人役。これまで出演してきた番組がネタになっていたり、ありそうでないような架空のドラマが出てきたり、明らかに有名番組のパロディだったり。
またテレ東さんがぶちかましたカンジがプンプン匂いますので、気になる方は是非。毎週金曜日の深夜OAですよ。


で、そんな松重豊さんが昨年からFMヨコハマで深夜音楽番組を始めたというのは御本人から伺っていたのですよ。ああ、憧れですよね、深夜FM音楽番組。学生の頃、深夜勉強のBGMはFM音楽番組でした。NHK-FMの「クロスオーバーイレブン」とかエフエム東京の「ジェットストリーム」とか。濃いコーヒーを飲みながら、時々ペンを止めて聴き入っていたもんです。
で、その松重さんの番組・FMヨコハマ「深夜の音楽食堂」にゲストとして呼んで頂きました。その一回目は去る1/17深夜に既にオンエアされてしまったのですが、念願の深夜FMで嬉しかったなあ。しかも私の好きな曲ばかり。そりゃそうだ。だって私のリクエストを掛けて頂いたんだから!

トークの内容は、まあ聞いて頂いた通りなのですが、ご紹介した曲についてちょっと補足しておきたいと思います。FMの音楽番組ともなれば紹介したい曲はいっぱいありまして、もう悩みに悩みまくったのですが、結局は「松重さんがお好きそうな曲」という観点で絞りました。どちらかというとヴォーカルのないフュージョンやクラブミュージック、いわゆる「インスト」モノの方が多い私ですが、今回は全て歌ありの曲ばかりを選んでいます。

まず一曲目は松重さんに教えて頂いてから大ファンになったサンフランシスコのアシッドジャズバンド・FIVE POINT PLAN「LIVE TODAY」(アルバム「Five Point Plan」収録)。
https://itunes.apple.com/jp/artist/five-point-plan/id16239375
どうやら私はこういう「ミドルテンポのシンプルなバックトラックに細かい譜割りのヴォーカルが乗る」曲が好きなようです。ハネるようなウネるようなタメのあるバックトラックに、シンコペーションで前の小節に喰っていくセクシーなヴォーカル。抑制の効いたベースとゴースト多めのスネア、エッジーなギターカッティング、ファンキーなオルガンソロ。
二枚のアルバムしか残していませんが、どの曲もグルーヴィでカッコイイ! ソウルとジャズとファンクとヒップホップが入り交じって、いいカンジに熟成されたようなバンドです。


二曲目はオランダのソウルクイーン・SHIRMA ROUSE「Take me as I am」(アルバム「Chocolate Coated Dreams」収録)。
番組の中で私はつい「シャーマ・ローズ」と言ってしまっていますが、どうやら「シャーマ・ラーズ」が正しいようです。これまたタメのある、ちょっとルーズめのバックトラックに、シャーマ・ラーズの伸びのあるパワフルなヴォーカルが乗るゴキゲンミュージック。ビートはシンプルですが、相当に細かい計算がされた複雑なグルーヴが心地よい。



このアルバムをリリースしているのは「SWEET SOUL RECORDS」という日本のレーベルで、名前の通りスウィートなソウルミュージックが満載です。私はこのレーベルのラインナップがお気に入りでして、ついレーベル買いするほど私好みなんです。まあレーベル買いという用語があるかどうか知りませんが、言ってみればジャケ買いの発展形でして、そのアーティストをよく知らなくてもレーベルを信じて買ってしまうこと。80年代頃はJ-POP系のCBS/SonyやEpic Sony、90年代はアシッドジャズ系のACID JAZZ RECORDSやTalkin' Loud、ブレイクビーツ系のNinja Tuneなどが好きでしたが、最近ではこのSWEET SOUL RECORDSやファンク系のP-VINEレーベルがお気に入り。
SWEET SOUL RECORDSさんの公式HPはこちら。
http://www.sweetsoulrecords.com
知られざる海外アーティストもたくさん紹介していますが、日本の若手ソウルアーティストをたくさん取り上げてくれているのも嬉しい。注目の日本人シンガーがソウルの名曲をカバーしているコンピレーションアルバム「SOUL OVER THE RACE」シリーズは愛聴盤です。




三曲目はGang Starrのラッパー・GURU「No Time to Play」(アルバム「Jazzmatazz,Vol.1」収録)。ヴォーカルはD.C.Lee、ギターはRonny Jordan。リズムパターンのサンプルはThe Love Unlimited Orchestraの「Satin Soul」のイントロ。これもヒップホップとジャズの融合として有名なアルバムでして、ヒップホップならではのシンプルなリズムループの上にグルーヴィなヴォーカルとギターとラップが乗っかっています。
大阪のオシャレ居酒屋で流れていて、あまりの格好良さにお店の方にお願いして曲名を調べ、その夜にはもうiTunes Storeで購入していたというほど好きな曲。今ならばShazamやSoundHoundといったスマホアプリで簡単に曲名を調べられますが、当時はそんな便利なアプリは持っていなかったので直接尋ねるしかなかったのですよ。



ビデオクリップもクールですね。

取り急ぎ、1/17OA分の、私の大好きな曲についてご説明いたしました。ええと、聴き損ねた方、まだ間に合います。
https://www.fmyokohama.co.jp/pc/program/ShinyanoOngakushokudo
PCでこの番組公式サイトに行って「radikoタイムフリーで聴く」ボタンを押して頂ければ、一週間以内なら聴けます。(聴取可能時間制限あり)
番組の公式ブログでも収録風景を取り上げて頂きました。
http://blog.fmyokohama.jp/yashoku/2017/01/16-f0f5.html

次回は1/24(火)深夜24:30からですので、おじさん俳優二人の音楽話に興味がある方はぜひ。
今回はちょっと音楽系の専門用語が多くてすみません。でも、気になる人はそれぞれ検索してみるがいいさ。ああそうさ。

2017/01/15

地テシ:087 「人喰いの大鷲トリコ」と「The Witness」そのよん

今年の頭に公表されましたので「トリドクロ」に出演することがやっと言えるようになりました。詳細はこちら。
http://www.tbs.co.jp/stagearound/toridokuro/
それと、新年一発目のお仕事は、松重豊さんがマスターを務めるFMヨコハマ「深夜の音楽食堂」のゲストです。1/17(火)と1/24(火)の24:30。全くタイプが違うのに、意外と好きな音楽が似ている二人のおじさんが音楽について話します。
http://www.village-artist.jp/UserNews/Detail/234
http://www.fmyokohama.co.jp/pc/program/ShinyanoOngakushokudo
FMラジオがなくても、スマホなら「radiko」というアプリで、PCならradiko.jp公式サイトで聞けます。さらに、一週間以内ならばradikoタイムフリーでも聞けますよ。


さて、前回に引き続き「The Witness」というパズルゲームにハマっているという話。美しい景色の中に散りばめられたパズルをひたすら解いていくオープンワールドパズルゲーム。シンプルな一筆書きパズルなのに、飽きずに楽しめて難しい。それは何故なのかって話ね。そのワケを書きましょう。

それは「どんどんルールが変わっていく」から。最初は「スタートからゴールまで繋ぐ」だけだったのが、なんか急に盤面に謎の記号が書き込まれた迷路に出逢うのです。こうなると何らかのルールに則って一筆書きを解かなければならない。ところが、そのルールについては一切書かれていないのです!
島を歩き回っていると、同じようなパネルが六つくらい並んでいる所があります。それが新ルールのチュートリアルらしい。といっても説明はないんです。簡単なパズルを新ルールの仮説を立てながら解いていきます。解けたならばその仮説は正しい。解けなければ仮説を立て直す。そうやって六つくらい解けばルールが理解できますので、その先の扉にあるパネルの迷路を解いて扉を開けたりしていきます。
ところが、しばらく進むと今度はまた別の記号が書き込まれた迷路が出てきます。そうすると解けない。だってルールが変わったから。
じゃ、この扉は放っておいて別の場所に行きましょう。そこがオープンワールドの良いところ。島は広い。まだまだたくさんパズルはあります。解けるヤツから解いていきましょう。その内に新しいルールもわかることでしょう。
噂ではパズルは650個以上もあるらしいです。中には体を使って解くパズルや島の大地自体を使うようなパズルも出てきますが、結局ぜーんぶ一筆書き! これほどまでに一筆書きにこだわった、しかしバラエティに富んだパズルは見たことがありません。

オープンワールドのお陰で、全てのパズルを解かなくても最終ステージには辿り着けます。なのでそろそろ終盤っぽいのですが、いやあ益々難しい! どんどん新ルールを理解して、どんどん行けるところは広がるのに、謎は深まるばかりです。え、ココもパズル? コレもパズル? ココとココが繋がってるの? この意味ありげなオブジェ何?
パズルの苦しみと楽しみ、ギミックの驚き、新鮮な閃き。空気感は往年の名作アドベンチャー「MYST」や「Portal」を思わせ、パズルを解いて進んでいくのはiOS・androidの名作パズル「Tengami」や「Monument Valley」を思わせます。
いずれも静かで独特の雰囲気を持つ名作ばかり。まあ、単に私がこういうタイプの作品が好きなだけでもありますが、こういうタイプなら何でも面白いかと言えばそうでもなく、中でも「The Witness」は相当に面白いと思います。
ただし、解けなくてかなりイライラしますけどね。悩みながら自力で解くからこそ面白い。その分だけ先に進めた時にはカタルシスを感じるのですが、相当にパズル大好きな人にしかお勧めできない作品です。

「The Witness」はPS4でダウンロード専売のインディーズゲーム(他にPC版と海外XBOX One版もあり)で、デザインしたは時間巻き戻し可能な名作アクション「Braid」を作ったジョナサン・ブロウ。インディーズゲームではメーカーの束縛がない代わりに予算が少ない場合が多いのですが、そのお陰できらりと光るアイデアの作品がたくさんあります。これもその成果の一つ。
ガンガン宣伝されるような大作ばかりでなく、こういう隠れたインディーズ名作がどんどん注目されると良いなあとか思います。では、また。




追加の後日談……

ようやくにして、ついさっきエンディングまで辿り着きました! あー、面白かった! そして辛かった! なんでお金出して買って、時間もたんまり掛けてまでイライラしているのか判りませんが、まあ要するに楽しいからなんですけどね。楽しく辛く、そして辛く楽しい。これぞゲーム。

なお、全てのパズルを解かなくても最終ステージまで行けるのですが、全てのパズルに挑戦したい方は、なんとなくラストっぽいなっと思ったらセーブしておく(ゲームを終了すればオートセーブされます)コトをオススメします。おおむねスタンバイモードで中断しながらプレイしてきた私は、今、エンディングを終えて呆然としております。さすがにもう一度頭からプレイし直す気力は無いぜ! するけど! するんかい!

2017/01/13

地テシ:086 「人喰いの大鷲トリコ」と「The Witness」そのさん

お正月三が日のどこかで都心のビジネス街を散策するのがここ数年の定番なのですが、それは普段は人通りの多い繁華街が閑散としているのを見るため。結構楽しいんですよ。
で、今年は目先を変えて虎ノ門から日比谷、丸ノ内と抜けてみたのですが、ここらはむっちゃ人が多い! 霞ヶ関あたりは街宣車と警官で騒がしいし、丸ノ内・東京は一般参賀の人と駅伝応援の人とでごった返すし。結局、いつもの大手町、神田、御茶ノ水あたりで人が少なくなってホッとするのね。


こちらは神田司町あたりですが、ほら、閑散としてるでしょ。いつもなら人と車で一杯の場所ですよ。


さて、待ちに待った「人喰いの大鷲トリコ」を頭を悩ませながらやっとクリアした私。「これ、どーやって解くんだ?」とホントに頭を悩ませたので、ダウンロードしたまま放っておいた「The Witness」というゲームを軽い息抜き気分で始めてしまった私。そしたら見事にハマってしまってずっとプレイしている私。そのままいつの間にか日付が変わって年を越してしまっていた私。そしてまた今年も頭を悩ませている私。そう、それが私だ。

「The Witness」はパズルゲーム。でもただのパズルではありません。一人称視点で探索しながら進むアドベンチャーパズル。いわば「オープンワールドパズル」なのです。ん? それはいったいなんだ?
オープンワールドというのは、ここ数年のゲーム業界で流行っている「ローディング無しで自由に移動できる広大なフィールド」のコトです。最近では「GTA5」とか「ウィッチャー3」とか「Fallout 4」とか、要するにシナリオの自由度が高く、広大なフィールドを歩き回りながら好きな順番で進んでいけるようなタイプのゲームです。先日発売された「FFXV」でもオープンワールドシステムが採り入れられて話題になりました。
「The Witness」の舞台はある無人島。決して広大ではありませんが、かなり自由に歩き回れます。この《フィールドを自由に歩き回れる》というのがポイント。

普通のパズルゲームの場合、トップ画面にズラッとパズルが並んで、一問が解けたら次のパズルがオープンして、みたいに進んでいきますよね。純粋にパズルをプレイしたいならそれが正解です。
しかし「The Witness」ではパズル問題が島のあちこちに散りばめられているのです。島には小屋や地下室や庭園などがあり、森あり池あり山があり。シンプルながらも美しい景色の中を歩き回りながらパズルを探してどんどん解いていくのです。とりあえずこちらのトレーラー動画をご覧下さい。



ちょっと怖そうな雰囲気がありますが、ホラー系ではありません。廃墟風の無人島だからちょっと不気味な感じはしますけど、コワくはありません。
で、この動画を見て頂ければ判るのですが、出てくるパズルというのが、全部「一筆書き」なんです。迷路風の一筆書きだけなんです!
アドベンチャーパズルの場合、解くべき謎はバラエティに富んでいるのが普通です。スイッチを押したり、石像を動かしたり、光を当てたり、謎のメッセージを解読したり。そうやって飽きさせないようにしているというか「今度はこう来たか!」という閃きを楽しむのです。
しかし! 今作では文字情報は一切無く、パズルはずーっと一筆書きなんですよ。「スタートからゴールまで一本線で交わらずに繋ぐ」だけの迷路。しかも大して広くない盤面。せいぜい6×6マスくらいの正方形。なのに飽きないんだよな! そして難しいんだよな! なんでだ?

その答えは次回!

2017/01/04

地テシ:085 「人喰いの大鷲トリコ」と「The Witness」そのに

やっぱり年越しちゃった! 2017年です! 今年もよろしく! 例年の如くゲームをプレイしながら気がついたら年を越していましたけど!

てなワケで年またぎで2016年の仕事まとめ! 舞台は新感線の「乱鶯」と「Vamp Bamboo Burn〜ヴァン!バン!バーン!〜」の二本だけ。それと「ドナインシタイン博士の禁断カフェ」に二回参加。
連載では誌名ごとリニューアルされた演劇専門誌「えんぶ」(旧演劇ぶっく)の人物ウォッチング。昨年は平野良、大東駿介、稲森いずみ、大谷亮介、上田大樹、小池栄子各氏(敬称略)を書かせて頂きました。同じくえんぶ系のネットコラム「未確認ヒコー舞台:UFB」で毎月第一木曜日に演劇用語の解説をさせて頂いています。
あとは「乱鶯」の稽古場レポートを書いたり、エイプリルフールには新感線公式ツイッターさんを乗っ取ったり、誤植込みでプロジェクトKUTO-10「あたらしいなみ」のチラシを作ったり。その節はすみませんでした。
以上まとめ終わり。こんなカンジ?


さあさあ、まとまったのでいよいよ「人喰いの大鷲トリコ」について語りましょう。この冬のプレイステーションTVCMでは年末の注目作品が山田孝之さんのパワフルな早口で述べられていましたが、その中で「FFXV」や「龍が如く6」と並んで名前が挙がったのがこの「トリコ」です。YouTubeの「PlayStation最新CM」チャンネルでは、このCMに加えて「トリコ」の発売カウントダウンCM五連作も見るコトができますよ。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLOkZyHIVzUcO1sC99Xa0U3W17NAPLPAWJ
この「あと5日。ある会社員の場合篇」いいなあ。

まあ、それほどまでに待たれていてそれほどまでに注目されているというコトです。もちろん私も待っておりました。注目しておりました。ICOとワンダ好きならみんなそうだったと思います。この二作については前回をご参考に。

今作も前二作と同じように謎解き系アクションアドベンチャーです。主人公の少年が謎の遺跡に閉じ込められた所から物語は始まります。その横には「人喰い」と恐れられる、大きな犬のような鳥のようなトリコという獣が鎖に繋がれて横たわっています。さあ、どうする?
遺跡を脱出するためには少年とトリコが協力しなくてはなりません。高い壁を乗り越えたり遠い足場に行くためにはトリコの跳躍力が必要ですし、スイッチがある小さな部屋や狭い隙間を通るには小柄な少年でなければ辿り着けません。
当然ながら会話も通じませんので、コミュニケーションを取るのだって一苦労です。トリコがお腹が空いているらしい時にエサ(何やら光る物質が入ったタル)をあげても、始めはなかなか食べてくれません。しかし、何度もエサをあげている内に警戒心も解け、徐々に二体は仲良くなっていきます。始めはちょっとコワかったトリコが実に可愛く見えてきます。この二体の関係性の変化がイイんですよ!

先に進むためにはトリコに乗る(あるいはしがみつく)コトが必要。羽毛に包まれてモフモフなトリコに飛びついてよじ登るところはワンダっぽいですが、今作ではR1ボタンを押しっぱなしにする必要はありません。トリコに乗り、トリコと共に進んでいくコトで広がる(あるいは広がらない)謎の遺跡の閉塞感。数々の試練が二体を阻みます。

前二作が混ざったような作風になっておりまして、閉じ込められた遺跡から脱出しようとするのはICO風、相棒である大きな獣トリコによじ登るのはワンダ風。同じく重要だったR1ボタンは、今作では「トリコを呼ぶ」またはトリコに乗った状態で「トリコに指示を出す」ためのボタンになっており、これまた印象的です。

PS4になって画面がさらに美しくなりました。トリコの大きさと可愛さ、小さな少年との対比、遺跡の広さ高さ荒涼さ。巧妙なカメラワークも手伝って、空気感すら伝わる美しさです。まあ、このカメラワークは操作上ではちょっとうざったくはあるんですけど。「トリコ邪魔!」とか時々思いますけど。時々だけね。

しかし、例によってヒントが少ない。前二作と違って、今作では時々文字によるヒントがあり、成長後の少年らしき人の声で「その時、私は〜したのだった」みたいなコトを言ってくれるのですが、それでもまあ判らない。とりあえず、青い石の床や出っ張りは重要。あと、トリコの行動や向く方向も重要。今作もまた絶妙な難易度です。攻略情報をネットで探したくなるのをグッとこらえてほぼ自力で解きました。ほぼ? ええ、ネットサーフィン中に一部、ちらっとヒントが見えちゃったのよ。でもまあほぼ自力。それでもまだいくつかエサのタルを取り損ねているようですが、進行には支障はありません。

私はこのゲームを「声の出るゲーム」と呼びたい。謎が判らなければ「えー、どうすんの?」と呟き、謎が解ければ「よしっ!」とガッツポーズをし、少年が落ちれば「ああっ!」と声が漏れ、トリコが救ってくれれば「おおっ!」とため息が出る。これは、<見る>だけである映画と違って、<操作する>という行為が介在するゲームならではの快感のような気がするんですよ。プレイしながら何度も声が出て、何度もドキドキして、それがまた楽しい。もどかしくも楽しく操作しながら、小さく声を上げながら、そして時々イライラしながら、最後の方では終わるのが勿体なくなってきちゃうんだよなあ。



このゲームについてもう少し詳しく知りたい方は、AUTOMATONさんのこちら↓の素敵な記事をどうぞ。ICO、ワンダ好きの方のための、詩的で力強いレビューです。ネタバレはありません。
http://jp.automaton.am/articles/impressionjp/20161216-36257/

さて、前二作にはクリア特典がありました。ICOの二周目のスイカエンディングとかライトセーバーとか、ワンダのハードモードとかタイムアタックとか。今作でもちょっとしたクリアのご褒美がありまして、それで二周目に挑戦したくなるんですよ。で、二周目を始めちゃったんですけど、今はあるゲームのせいで一旦保留。トリコを保留してまで止まんなくなっちゃって、年越しまでもそのゲーム。
そのゲームが「The Witness」なのですが、コレについては次回。ってまた引っ張ります。

2016/12/30

地テシ:084 「人喰いの大鷲トリコ」と「The Witness」そのいち

さて、展覧会関係の話が続いてしまいましたので、ここらでちょいとゲームの話でも。ていうか2016年のまとめはしないのかよ! いや、したいんですけど、撮りためた面白写真も大量なんですけど、今はやはりこのゲームの話をせねばなりますまい!
それは! もちろん「人喰いの大鷲トリコ」!

私が「ICO」と「ワンダと巨像」が好きだというのはことあるごとに言ったり書いたりしてきましたし、実際にこの二つのゲームにはファンが数多くいます。そのクリエイター・上田文人さんの最新作となればプレイせずにはいられません。ていうかプレイしました。そしてやっとクリアしました!

思い起こせば7年前。2009年のE3でこの作品のビジュアルが発表され、世のゲーム好きが歓喜しました。もちろん私も歓喜しました。それから紆余曲折があり、発売日が延期されたりして、やっとこの12/6に発売されたのです! そりゃ買うでしょ! プレイするでしょ!

改めてまとめましょう。「ICO」は2001年にPS2で発売されたアクションアドベンチャー。謎の古城に閉じ込められた少年イコが、途中で出逢ったヨルダという少女と共に古城を抜け出すまでをプレイします。アクションではありますが、このゲームのポイントは謎解きにあります。行く手を阻む扉や段差を、スイッチを操作したりパズルのような仕掛けを解きながら進んでいきます。この仕掛けが難しい!
序盤こそ簡単な謎ですが、進むにつれて難易度が上がっていきます。文字情報のヒントは一切無く、交わされる会話も架空の言語と象形文字のような字幕ですから全く判りません。ヒントが出るとしても、ヨルダが怪しい場所を指し示すだけ。とにかく謎を解かない限り先には進めませんから、力業ではクリアできないんですよ。こっちのスイッチを押しながらあっちのスイッチを押すとか、動かせる足場を移動させて高いところに登るとか、バラエティ豊かな謎がイコとヨルダを(つまりプレイヤーを)悩ませます。
当時は攻略情報をネットで見るという発想がなかったので、謎に詰まると数日に渡って進めないという状況になります。そのぶん、数日悩んで謎が解けて先に進めた時には堪らない快感がありました。なるほど、そう解くのか! という正解に辿り着くまでは試行錯誤の連続です。こう書くと辛いだけのような気もしますが、当時は本当に苦しみながら楽しんでいたのです。
時には影のような煙のような敵キャラクターがワラワラと湧いてヨルダを連れ去ろうと寄ってきまして、それを木の棒で蹴散らしながらヨルダの手を引いて逃げます。この「手を繋ぐ」というシステムが今作のキモ。ヨルダは自発的には動かず攻撃能力もありませんから、手を繋いで連れて行くしかないのです。手を繋ぐにはR1ボタンを押し続けるしかなく、このR1ボタンを押しながら走ったり蹴散らしたりしなくてはならないという操作システムがイコとヨルダの絆を感じさせるものでした。
この練りに練られたゲームデザインが絶妙に作用して、私にとって、そして世のゲームファンにとって忘れられない作品となったのです。


「ワンダと巨像」も同じスタッフが手がけた、PS2で2005年に発売されたゲーム。こちらも同様のアクションアドベンチャーですが、ちょっと趣が違います。
主人公はワンダという青年。ワンダは愛馬アグロと共に広大なフィールドを駆け回り、その各所に点在する巨像を斃して廻ります。巨像は名前の通り巨大な石像で、それぞれ人型や動物型の異なった姿をしています。その全てに弱点があり、ワンダがその巨像によじ登って弱点を攻撃すればそのステージのクリアとなります。
今作のキモがこの「よじ登る」という動作。巨像の表面には毛のような草のようなものが生えており、R1ボタンを押すことによってその毛を掴みよじ登ることができます。つまりR1ボタンを押しながら各種アクションをしていくのですが、この点がICOとの共通点。また、巨像に辿り着くまでに仕掛けを解いていかなければならないのも共通点です。
どうやって巨像に取り付くのか、どうやって弱点に辿り着くのか。ICOと同様に独特の美しく静謐な世界の中で冒険は紡ぎ出されます。二作ともイベントシーン以外にBGMはほとんど無く、基本的に風音などの効果音のみで構成されます。これがまた世界観の構築に一役買っているのです。

二作ともプラットフォームはPS2でしたが、2011年にはPS3用にリメイクされています。絵が綺麗になったり3Dに対応したりしていますが、ゲームシステムは全く同じ。謎解きの難易度も同じで、再プレイしても色あせない魅力が詰まっていました。

そして「ICO」から15年、「ワンダと巨像」から11年、リメイクから5年。いよいよ上田文人最新作である「人喰い大鷲のトリコ」が発売されたのですよ! プレイしたよ! クリアしたよ!


といったところで長くなっちゃったので、「トリコ」については次回。ていうか、例によって年内にまとめられるのか?

2016/12/28

地テシ:083 「東京凸凹地形」展

前回は「It's a Sony展」と「大ラジカセ展」の二つをご紹介しましたので、展覧会繋がりでもう一つご紹介しておきましょう。

それは東京都立中央図書館にて現在開催されております「東京凸凹地形 -地形から見た東京の今昔-」という、いかにも私の趣味にピッタリの企画展示。図書館ならではの膨大な書籍資料を駆使して、東京の凸凹について詳しく説明しています。

近年、「タモリ倶楽部」や「ブラタモリ」などのテレビ番組や、東京スリバチ学会・大阪高低差学会などのフィールドワーク団体のお陰で、都市と凸凹の関係界隈が大変に盛り上がっております。関連書籍なども数多く出版されており、もちろん私の大好物なのですが、ついに東京都までが動き出しました。それがこの展覧会です。

都立中央図書館ですから東京に関する書籍なら他の追随を許しません。その膨大な資料の中から東京の凸凹に関する書籍を並べて、参考になるページには付箋も貼って、しかも手に取って自由に閲覧可能なのです。ただ、困ったことに、私はそのほとんどの書籍(官公庁の技術資料を除く)を持っていたんです。持ってるのかよ! 困るのかよ! 困んないだろ!
しかし、これだけの資料がズラッと並んでいるのは壮観でした。書籍はテーマごとに分類され、さらに古地図や古写真もパネル展示されています。解説も丁寧で、パネル展示だけ見ていても充分に面白いのですが、気になるテーマがあればその下のテーブルに置いてある書籍を読むと更に深く掘り下げられるようになっています。テーブルと椅子もたくさんあるのでじっくり腰を落ち着けて読むことができます。一冊ずつしかないから、誰かが読んでいたらその資料は読めないけどね。

そんな中、最も私の注意を引いたのが、会場に入ってすぐ左にドーンと掲げられている、展示の一番始めを飾る大きな標高地図。東京地図研究社作成の「東京全図」なのですが、横に長い東京都を納めるためにかなり引いた構図でして、お陰で武蔵野台地の古多摩川扇状地を広く見ることができます。
ここで目を引くのが、扇状地に中にポツンと島状に取り残された狭山丘陵。人工湖である狭山湖と多摩湖がある、トトロの森の愛称で知られる里山ですが、ココだけポツンと標高が高く、かつデコボコしているんですよね。
これは関東平野を形作る古多摩川の流路が、北東経由(現在の入間川、荒川方面)から南東経由(現在の多摩川)へと変化した時に削り残された部分のようです。なので島状に残っているんですね。
当展覧会は写真がNGだったのでお見せできませんが、iPhoneアプリの「スーパー地形」から似たような標高図を取り出してみました(この「スーパー地形」というアプリもスグレモノなので、いずれちゃんとご紹介したいと思います)。

このセンター部分が狭山丘陵。周りが放射状に平らなのにココだけ盛り上がってるでしょ。狭山丘陵に寄ってみるとこうなります。

人工湖がハッキリ判ります。確かに「削り残された」って感じがするでしょ。

このような地表の高さを色分けとデコボコとで表現した標高図は私の大好物ですが、東京に関してはこちらの都区部を中心としたデジタル標高図が有名でして、この印象が強すぎて東京都全図の方は忘れがちなのよ。だから、この展覧会でこの標高図を見た時に、特徴的な狭山丘陵が印象的だったって話。丁度地図のど真ん中だしね。


とはいえ、この展覧会の目玉はなんといっても立体地図「東京の微地形模型」が展示され、しかも話題となったプロジェクションマッピングまで行われているコトでしょう。このblogでも以前詳しくレポートしました。
http://awanemacoto.blogspot.jp/2012/07/2_15.html

「東京凸凹地形」展は撮影禁止だったのですが、この模型に関してだけは静止画のみ撮影可でした。

当時、期間限定で展示されていたあの立体地図をもう一度見るコトができるのです、マッピング映像つきで! これは気になるでしょう。2012年に見損ねた方はぜひ一度ご覧下さいませ。

こちらの「東京凸凹地形」展は2/12まで。ちょっと面白い仕掛けのクリアファイルも貰えちゃうよ。年末年始は改装も含めて休館日が多いのでお気を付けて。スケジュールの確認はこちらから。
http://www.library.metro.tokyo.jp/tabid/2287/Default.aspx?itemid=1436

会場となる都立中央図書館は有栖川宮記念公園の北東端。最寄り駅は東京メトロ広尾駅ですが傾斜地にあるので結構な上り坂になります。でも、この上り坂を登るという行為が既に地形に考察を巡らせるよいキッカケとなりますので、ちょっとした散策気分でお出かけ下さい。この辺りの地形も面白くていいんですよ。

2016/12/25

地テシ:082 「It's a Sony展」と「大ラジカセ展」

「VBB」が終わってはや二ヶ月。今は観劇月間の粟根です。先日もリリパットアーミーII「天獄界〜哀しき金糸鳥」を見に行って、KUTO-10次回公演に出演するうえだひろしくんと長橋遼也くんと制作の岡本康子さんに誤植について平謝りしてきた粟根です。ホントすみませんでした。

さあ、そんなワケでね。2016年も終わろうとしております。今年は新感線の二本だけに出演という少なさでしたが、それぞれが長かったからね。それなりに大変な一年でした。そんな一年をざっくり振り返っておきましょうか。

まずは最近行った、家電関係というか、ラジカセ関係の展覧会を二つご紹介いたしましょう。

一つは「It's a Sony展」。銀座にあります、螺旋状に構成されている五十年の歴史あるソニービルが解体されるにあたり、そのビル全体を使ってソニー製品の歴史が見られるという展覧会です。

http://www.sonybuilding.jp/ginzasonypark/event/


向かいにあります新築成った東急プラザ銀座から、展覧会広告幕の掛かるソニービルを撮ってみました。(そう、このガラス張りの東急プラザも江戸切子がモチーフとなっていて美しいですよね)

解体されちゃうので、ビル自体も展示の一部です。壁や柱の囲いも剥がされ、こんな風に建設当時の壁面が出てきてしまっているのも面白い。


ソニーが創業して70年。常に革新的で刺激的な製品を作ってきたソニーの歴史が体感できる展覧会です。膨大な製品の中から選ばれたエポックな製品がズラッと並びます。しかも写真OKなんですから嬉しい限り。

思えば、私の音楽生活は常にソニーと共にありました。生まれて初めて買ったラジカセがソニー、初めてのシステムコンポがソニー、初めての携帯音楽プレーヤーはもちろんウォークマンやディスクマン。家にはソニーのトリニトロンテレビがありました。そういえば初めてのデジカメもサイバーショットでしたし、劇団で初めて買ったビデオカメラはデジタルハンディカム。ゲーム機のPlayStationシリーズはもちろん全機持っています。ソニーづくし。

音楽以外にも、生活とは切り離せないAV機器としてソニーは常に私に周りに存在し続けているのです。まあ、正直な所を言えばテレビのWEGA、BRAVIAとかビデオのベータマックスとかAIBOとかVAIOとかは使っていないんですけどね。それでもソニー製品にはお世話になりっぱなしなんです。


ソニーのカセットテープも忘れられませんね。このシンプルなデザイン。一番多く使ったのは緑のパッケージのC90でした。当時のLPアルバム一枚が大体45分だったんです。両面使って二枚のアルバムが録音できました。
私が演劇を始めた頃、音効さんが使っていたのは主にオープンリールテープレコーダーでしたが、そのテープとして人気だったのもソニーとマクセル。安くて信頼できるのがこの二つのブランドでした。プロ器材としても信頼が高かったというコトです。

ソニーが凄いなと思うのは、プロユースとカジュアルユースが同じ地平に立っていたこと。プロが仕事で使う信頼性の高い製品と、コンシューマーが日常で使う製品とが同じレベルで混在したことだと思うのです。この展覧会でも、創業当時のとんがった新聞広告が展示されていましたが、消費者が面白がれてビックリできる製品と、シビアなプロが使える製品とが分け隔て無く商品化されていたのです。
とにかく製品に「日本初」とか「世界初」とかが多い。テープレコーダーとかトランジスタラジオとかウォークマンとか、エポックな製品を数多く作っています。それと同時に、放送局が使うようなプロ器材の名機も数多く輩出しています。
ビデオテープ時代のテレビ局で使われていたのはベータマックスですし、現在も使われているCD規格もソニーとフィリップスの共同規格です。CDが直径12cmに決まったのは、当時ソニー副社長の大賀典雄さんがベートーヴェンの第九が収録できるという理由で12cmを主張したのが決め手だというのも有名な話。


こちらは「カセットデンスケ」という愛称のテープレコーダー。そもそも街頭録音用のオープンリールレコーダーの名機「デンスケ」をソニーが出し、それが各放送局で愛用され、そのカセットテープ版としてこのカセットデンスケがリリースされ、当時の生録(なまろく)ブーム(蒸気機関車の音とかを撮ったりね)も相まって爆発的に売れたプロ用製品です。昔の劇団☆新感線の稽古場にもコレがあり、コレでヘビメタを流しながら稽古していたことを思い出します。テープ部分のフタは取れてなくなっちゃってたけどね。当時、音楽を流すのは若手劇団員の仕事だったのよ。

ソニービルの螺旋状のフロアを登りながらそういった色々なコトを思い出したってコトさ。世代によって思い出は違うでしょうが、やっぱりソニーって偉大なメーカーだなあとか思いました。
「It's a Sony展」は2017年2月12日までがPart-1。その後、展示を変えてPart-2が3月31日まで。でも、ソニー製品が体系的に展示されるのはPart-1の方だと思うので、ソニー製品になんらかの思い入れのある方は是非2月中旬までに行ってみて下さい。いろんなグッズも売ってるよ。ガチャガチャとかも。


もう一つの展覧会は池袋パルコ本館のパルコミュージアムで開催されている「大ラジカセ展」。ラジカセコレクターとして有名な松崎順一さんが監修する、100台のビンテージラジカセが大集合する展覧会です。

http://dairadicasseten.haction.co.jp/


こちらは各社のラジカセに絞った展覧会。「日本発アナログ合体家電」としてのラジカセをドカッと集めて並べています。松崎さんといえば、名著「ラジカセのデザイン!」の著者であり、ラジカセ愛に溢れた方。その松崎さんのコレクションが狭い会場に所狭しと並んでいます。狭いんだから所が狭いのは当然ですが。

ラジカセというのは言うまでも無く「ラジオとカセットテープレコーダー」が合体した家電。発展の内に、二個のカセットを再生できるダブルカセットとか、CDと合体したCDラジカセとか、テレビと合体したラテカセとか、まあ色々ととんでもない進化を遂げますが、それらの中から代表的な製品が集められており、我々カセット世代にとってはたまらない展覧会となっています。

進化の過程では、こんな製品も出てきました。


なにこれ? 私もこんな製品があることを知りませんでしたが、ラジカセとキーボードが合体しちゃったみたいですね。右上のソニー製品も、パッド型の音源が搭載されています。当時、「宅録(たくろく)」といわれた自宅音楽製作が流行っていたので、それ用の製品でしょう。今のDTM(Desk Top Music)のハシリともいえます。

ラジカセだけではなく、カセットテープ関係の展示も充実しており、80年代に流行した「カセットマガジン」のコーナーもあります。カセットマガジンとは、雑誌にカセットテープが付随したモノ。当時最先端の音楽を収録したカセットテープと、流行のライフスタイルを解説した雑誌がセットになっていました。これがもうオシャレでねえ。テクノポップと時を同じゅうして流行最先端でした。
そのコーナにはこんな商品も陳列されていました。


当時、富士カセットのCMにYellow Magic Orchestraが起用され、「テクノポリス」という名曲に乗せたCFが作られました。そのキャンペーンで抽選で当たるカセットマガジンがこちらだったんです。抽選だから非売品。簡単には手に入らないシロモノでしたから憧れでしたねえ。この宅録器材のようなシンセサイザーのようなパッケージも含めてマニア垂涎の品でしたが、入手できずに結局中身は判らずじまい。このパッケージに見える部分が実は本でして、真ん中部分だけがくり抜かれているというのもオシャレ要素です。

「大ラジカセ展」は12月27日まで。あ、もう終わるじゃん! 急がないと! ラジカセ世代にはキュンと来る展覧会ですので、是非終わるまでに行ってみて下さいませ。

2016/12/10

[お詫び] プロジェクトKUTO-10「あたらしいなみ」チラシの誤植について

皆様お久しぶりです。また前回の更新から四ヶ月も空いてしまって申し訳ありません。近いうちに今年のまとめなどをお届けしたいと思います。

しかし、本日は皆様へのお詫びと訂正です。

毎公演チラシを作らせて頂いております工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10。

http://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/

次回公演「あたらしいなみ」のチラシも作らせて頂きました。既に劇場での配布も始まっております。
しかし、そのチラシにおきまして大きな誤植がございます。

作のサカイヒロトさまの所属団体が、おもてうら共に「WE'RE」と表記されておりますが、正しくは「WI'RE」です。
作家の所属名を間違えるというあってはならない誤植なのですが、サカイさまからもお許し頂き、刷り直しをせずにこのまま配布されることとなりました。

サカイさま、劇団の皆様、また今公演のスタッフキャストの皆様には、大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。
ここに深くお詫び申し上げる次第です。申し訳ありません。

今までにも何度か誤植をしたことはありますが、ここまで大きなミスは初めてです。これから公演までの約三ヶ月、このチラシを多くの劇場で見かける事になると思いますが、サカイヒロトさまの所属は正しくは「WI'RE」です。
改めまして、お詫びと訂正を申し上げます。

劇団側の訂正記事リンクです。
http://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/diary/201612090000/

以下に、修整されたチラシデータを貼付しておきます。
この公演が無事に成功されますようお祈り申し上げます。




2016/08/04

地テシ:081 「VBB」直前ですが「乱鶯」の話を

ああ、すみません。例によってまた長期間開いてしまいました。大丈夫です、生きています。今、長野県は上田市におります。いやあ、いいよね、盆地。山に囲まれてて。暑いけど。川が流れていて。暑いけど。

そんなこんなで気がついたら「VBB」のプレビュー初日が目前です。なんだかワサワサした作品になりそうです。上手く伝わっていないかもしれませんが、なんだかワサワサしそうなんです。どうぞお楽しみに。


で、その前に「乱鶯」についてですよ。もうずいぶんと前の話になってしまいましたが、「VBB」の前にザックリとまとめておきましょう。楽しかったけど色々と大変だったなあとか思い出しながらね。
「乱鶯」は初めての倉持裕脚本ということで、いつもと違うけど面白かったとか、いつもと違って物足りなかったとか、まあ判りやすく賛否両論でございましたが、まあ我々は楽しく過ごさせて頂きましたよ。

ご覧頂いた方ならお判りだと思いますが、私は序盤で死んでしまって、そこから先は幽霊での出演となりました。いやあ、これが中々大変だったのですよ。
幽霊での出演となればやはり「スッポン」での登場となるワケですが、それについてはこちらの連載「UFB:未確認ヒコー舞台」をお読み下さい。

http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/archives/47685858.html

ここでも書いておりますが、幽霊への変身が、まあ大変だったのですよ! 人間姿(けっこう病弱)は一幕二景の途中で退場して、次の幽霊(なんだか陽気)の登場は一幕五景。そこそこ時間はあります。あるんですが、やることが多い!

ハケましたら、そのまま衣裳部屋へ移動しながら脱ぎ始めます。片襷とか前掛けを外しながらね。衣裳部屋で衣裳を脱いで、そのまま床山部屋へ行って、カツラを外し、さらにマイクを一旦外します。そうしないと一枚目の羽二重が取れないからね。そう、今回は羽二重を二重にしているのです。羽二重についてはこちらをご参照下さい。

http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/archives/25512664.html

なぜ羽二重を二重にしているかというと、顔色が大幅に変わるから。人間時には病人でちょっと白めとはいえ、まあ肌色ですね。しかし、幽霊になるとほぼ真っ白ですから、白い羽二重も用意して頂いていたのです。で、その二種類を取り替えるのですが、その下には髪を束ねる用のベースの羽二重をしているのね。なので今回は羽二重を三枚用意して頂きました。ベース、肌色、白色とね。

そんなワケで、出番が終わったら即、衣裳もカツラもマイクも肌色の羽二重も取りまして、それからメイク替えです。顔はまだらに白くして、ゾンビのようなメイクをします。さらに、幽霊ですから手も腕も足も白く塗ります。メイクさんに白いファンデーションを用意して頂いたのですが、その減りが早い早い! 一週間に一個使い切るようなペースです。
ある程度メイクができたら、また床山部屋に行って白い羽二重を締めて頂き、衣裳部屋で幽霊の衣裳を着せて頂き、音響さんにお願いしてマイクを付け直して頂き、また床山部屋に戻って幽霊のザンバラカツラを載せて頂き、ほんでまた自分の楽屋に戻ってメイクの続きをするんですが、そうこうしている間に出番の目安となるセリフが聞こえるから、慌ててソデに走ります。これが一幕中盤から後半の私の流れ。ほら、結構忙しいでしょ。

だもんで、一二幕の間の休憩時間にメイクを仕上げます。もうちょっと丁寧にゾンビになるために。いや、ゾンビではないんだけど。幽霊なんだけど。まあ、できるだけ怖ろしげな容貌を目指しておりました。
二幕の最初の出番はスッポンから迫り上がってくるところ。なので、客席がホントに近いので、すぐ側のお客様が私の様相に驚いて悲鳴を上げたりすると大満足です。まあ、その後すぐに笑われるんですけどね。

あと、手を白く塗っているとホント大変ね。触るモノが全部白くなっちゃう。メイク道具はしょうがないとして、台本とかMacとかiPhoneとかiPadとか、楽屋で触るモノ全てが白くなっちゃうんですよ。今回、「VBB」の為に劇場に入ってメイク道具を並べていたら、なんだか全部白っぽくなっていたんで「乱鶯」のコトを思い出したってワケさ。ま、いつか落ちるさ、この白も。


というワケで、まもなく「VBB」が始まります。「乱鶯」とは全く違う、なんだかワサワサした舞台。平安時代から千年生きている吸血鬼がヴィジュアル系バンドのヴォーカルをしながら愛するかぐや姫の生まれ変わりを探すお話。なんだそれ! そうなんです。皆様には「なんだコレ!」と思いながらご鑑賞頂けますよう、スタッフキャスト一同、真面目にバカをしながらお待ちしております。

2016/03/25

地テシ:080 KUTO-10「骨から星へ」

気がついたらもう三月。気がついたらもう「乱鶯」の東京公演が始まっていて、気がついたらもう「乱鶯」東京公演も残り少なくなってきています。って気がつくの遅いな、俺。ええと、月日が経つのは速いものです。
「乱鶯」は「いのうえ歌舞伎《黒》」というコトでいつもとちょっと違う新感線でして、ネットでの評判をチラッと見たりすると「いつもとちょっと違って新鮮だ」という意見があったり「いつもとちょっと違って物足りない」という意見があったり、まあ要するに賛否両論ではありますが、やっている我々はとても楽しいのです。
古田くんがセンターで、劇団員もほぼ総出演となるいのうえ歌舞伎はおそらく当分は見られないと思います。残りのステージも少なくなってきております。気になっている方は、是非!

そんな公演中の私ではありますが、チラシを作らせて頂いた工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10「骨から星へ」を見に行って参りました。
この舞台、久保田浩さんと座長である工藤俊作さんが90分間ほぼ出突っ張りなのね。二人とも私より一つ年下の五十歳。劇中にも年齢に関する言及があり、ああ、彼らももう五十歳かぁとか思いましてね。二人ともかれこれ三十年くらいのつきあいで若い頃から知っているんですが、この二人の佇まいが実に良いんですよ。

そういえば、こんな素敵な大人たちも、かつて若い頃は二人とも「狂気の俳優」と呼ばれていたことを思い出しました。
トシさん(工藤さん)は舞台上のみならず私生活でも奇声を発する怪人でして、盟友である古田くんやじゅんさんからも恐れられていたほどです。
クボッティ(久保田さん)は当たり役である「羽曳野の伊藤」を初めとした「冷静な情緒不安定者」に定評があり、私生活でもどうにもおかしな人でした。

そんな狂気の俳優二人が、実に味のある大人になっていて、なんとも感慨深い気分になった公演でした。特にクボッティの巧さには改めて驚かされました。二人ともなんだか良い歳の取り方をしているなあって。

ちょっと大人な「いのうえ歌舞伎《黒》」を上演している我々としても、まあ歳を取るのも悪いコトじゃないんだなあとか思いながら見ていましたよ。そして、懐かしい関西出身の演劇人たち(先輩とか同輩とか後輩とか)ともたくさん会えて嬉しい一日でした。

「骨から星へ」は、京王井の頭線 駒場東大前駅から徒歩三分、こまばアゴラ劇場にて3/27まで。宣伝美術を担当させて頂いた縁もあって、ちょっと宣伝させて頂きました。チケットはまだまだあるそうですので、どうぞよろしくお願いいたします。

2016/01/06

地テシ:079 2016年と中島清之展

新年明けましておめでとうございます。2016年! 今年もよろしくお願いいたします。今年の一発目は2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」ですが、秋公演として宮藤官九郎さんが書くと発表されちゃいましたので、春と秋は新感線でよろしくお願いいたします!


毎年、可能ならばゲームしながらの年越しを心がけておりまして、没頭している内に気がついたら年を越していたというのが理想です。今年も「Fallout 4」を夢中でプレイしている内に気がついたら年を越していました。幸先の良い新年です。
以前にも書きましたREGZAを買ってからタイムシフト視聴が基本になっている私ですので、年末年始の特番もタイムシフトで観ています。今のところやっと年末特番を消化して、やっと新春特番に入りました。もう世間は新年気分は抜け始めているのに、私だけまだ新春気分です。

そんな新春気分の私ですが、新春早々、急に思い立って美術展に行ってきました。ネットで見つけて妙に気になった「横浜発 おもしろい画家:中島清之ー日本画の迷宮」(横浜美術館)です。
















あんまり日本画は見ないのですが、ちょっとコレは気になっちゃたのよ。なにやら面白そう!

というワケで新年から横浜に行ってきちゃいました。

中島清之とかいて「なかじまきよし」と読むらしいのですが、大正から昭和に掛けての日本画の大家でして、東京芸大の講師として教鞭を執ったこともある重鎮です。重鎮らしいのですが、この展覧会のタイトルである「おもしろい画家」というのが気になっちゃったんですね。

気になって行ってみたのが正解でした。確かに面白い。何て言うか、作風が固定していないんだよね。日本画をベースとしながら、洋画とか抽象画とかアンフォルメルとか、色んなムーブメントを採り入れて、どんどん作風が変わっていくんですよ。しかも、一枚の作品の中にそれが混ざっちゃう。
日本画の特徴である、輪郭線を描いちゃうとか遠近法を使わないとか暈かしを使うとか、そういう手法と洋画の手法を混ぜちゃう。物凄く精密に描いてある部分があるかと思いきや、物凄くデフォルメされた部分が一枚の中にあったりします。
着物の柄や生物の皮膚模様を精密に描くのに背景がモヤッとしてるんだとか、一度描いた精密な背景を塗りつぶしちゃうんだとか、そこに金箔貼っちゃうんだとか、輪郭をピンクで描いちゃうんだとか、その角度とこの角度が混在しちゃうんだとか、コレはもうキュビズムなんじゃないかとか、アクリル画みたいに塗りつぶしちゃうんだとか、そこしか描かないんだとか、漫画みたいな表現するんだとか、なんだかもう何でもアリな作風なんですよ。

初期のいかにも日本画な作品も良いのですが、後期の大判の作品、例えば一面に笹の葉を描いた「緑扇」なんかは細密な日本画とミニマル・アートが融合したような作風で見応えがあります。
他にも見所が多くて、実に刺激的な展覧会でした。1/11には終わっちゃうから、もしお時間がございましたら是非。

そして、ついでのようですが、同時に開催している「横浜美術館コレクション展」の「大正・昭和の横浜から」には多くの美しい陶器が展示されているのですが、その中の宮川香山による「記念杯(一対)」という杯がむっちゃ可愛い! 杯を白兎と茶兎(だか鹿だか狸だか)に見立てた作品なのですが、コレを紹介したくてネットを探しまくっても写真がどこにもないんですよ。こんなにカワイイのに! なので、是非とも実物を見て頂きたいのですよ。

よろしければ、新年には横浜に行ってみてくださいませ。じゃ、今年もよろしくです〜!

2015/12/31

地テシ:078 2015年ももう終わり

えー、年末ですね。大晦日ですね。ネルケプランニング「夜の姉妹」にはいっぱいのお運びありがとうございました。無事に大阪公演も終わりまして、私もおばさんおばさんと言われながら終わりました。懐かしの近鉄アート館は実に楽しかったですよ!


そんな2015年ももう終わり。なので今年の仕事でもまとめておきましょうか。

まずは冬に「真田十勇士」TBS版の再演で幕を上げ、春から秋までずーっと「五右衛門vs轟天」! 怒濤の80ステージ! 秋からはちょっと規模を小さくして「芸祭」と「新感線MMF」と朗読劇「ポポイ」と「夜の姉妹」の四連発。

舞台ではこんな感じ。今年は映像の仕事がなかったのね(取材を除く)。あ、あったわ。来年公開のある映画にホンの一瞬だけ出ています。出来上がったら出てないかもしれないけど。

レギュラーの仕事としては、毎度お馴染み演劇ぶっくの「人物ウォッチング」が隔月連載、日刊☆えんぶの「未確認ヒコー舞台:UFB」が毎月連載(http://blog.livedoor.jp/nikkann-awane/)です。
他にも「大☆新感線博」にて配布された復刻版会報「めぐり」を作ったり、プロジェクトKUTO-10さんの「骨から星へ」のチラシを作らせて頂いたり(http://plaza.rakuten.co.jp/kuto10/)。

こんな感じでしょうか。忘れてない? 何か大事な仕事忘れてない?

ちなみに今年観た舞台は47本。例年よりちょっと少なめです。


来年は2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」から始まります。ていうか、その稽古から始まります。
2016年もよろしくお願いいたします! では良いお年を! さあ年越しで「Fallout 4」やるぞ!

2015/12/25

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のおはなし

ネルケプランニング「夜の姉妹」大阪公演も始まりまして、ちょっと狭い劇場で、東京よりもグッと濃密な空間で、グッと濃密な演劇が出来ているような気がします。やっぱり演劇専用の劇場というのは有り難いですね。しかも久しぶりの劇場だし。昔のまんまの劇場でお待ちしております。

そんな「夜の姉妹」の話もそこそこに、今日はやっと見た「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の話をしたいんですよ。できる限りネタバレはしないようにしますが、ちょっとは出ちゃうかもしれないから気をつけて下さい。


















まあ、一言で言うと「楽しかったです」という小学生みたいな感想しか出ないんですけど。どうやら賛否両論いろいろな感想が出ているようですからいまさら私がなにやら言っても仕方がないとは思いますが、まあ見た感想は人それぞれ。それは映画だけでなく我々の演劇作品についても同様のことが言えると思います。作品は観た人のモノ!
観た時の気分とか時代とか天気とか、まあ色々な要素で感想というのは変わるモノでして、それはそれは純粋にパーソナルなモノになるんですよ、感想ってのは。だからこそ、第一作(EP4)から映画館で観ている私個人としての感想は「楽しかった」だという話ですね。

ストーリーに関しては、ちょっとでも話しちゃうと先入観が入っちゃうから言えませんが、旧三部作(EP4〜6)が好きな人なら楽しめるんじゃないでしょうか。オマージュというかリスペクトが過ぎるのは新監督J・J・エイブラムスの名刺代わりの挨拶だと思いますが、今後の展開であっさりと裏切ってくれても、あくまでリスペクトを続けてくれても、どっちにしても私は構いません。好きなように料理すれば良いと思います。それこそ観客は好き勝手言うものですから。

なんだかツッコミどころの多い作品ではあるとは思いますが、まあいいじゃん、楽しかったんだから! ええと、個人的にはア○○○提督が再登場したのが嬉しかったんですけど。ていうか生きていたんだ魚顔提督! あ、ネタバレだ。

今後のシリーズも楽しみですね。どう転がっていくのやら!

2015/12/23

地テシ:077 「夜の姉妹」大阪公演が開幕します

ネルケプランニング「夜の姉妹」も東京公演はおおむね評判も良く、無事に終えることが出来ました。次は大阪公演ですよ。

大阪公演の舞台は懐かしの近鉄アート館。かつては新感線や劇団MOTHERの公演で何度もお世話になった劇場ですが、しばらくの休館を経て復活いたしました。
昨年の「一郎ちゃんがいく。」の大阪公演の会場ではありますが、私は東京公演だけの参加でしたので近鉄アート館には行っていないのですよ。
その時のキャスト陣からも、他の演劇人からも、昔の近鉄アート館を知っている人々からは「まったく変わってないよ」という報告を頂いていたのですが、実際に来てみたらホントに変わっていませんでした。まんまの復活です。

休館前に最後に出たのは何だろうと考えてみたのですが、覚えている範囲では2000年の「ALL AROUND MOTHER」だったような気がします。だとすれば15年ぶりですよ。かつては舞台上での出演はもちろん、音響や照明のスタッフとして何度もお世話になった劇場ですが、実に久しぶりの近鉄アート館です。

今ではあべのハルカスの中に取り込まれちゃっておりまして、近鉄百貨店本店ウイング館の八階にあります。昔のアート館をご存じの方なら昔の通りに、ご存じない方でもハルカスの八階にあるんだとだけ覚えて頂ければ辿り着けると思います。
もうなにもかも昔のまんま、床のシミまで昔のまんまでお待ちしておりますので、どうぞご来場下さいませ。

そしてこちらがあべのハルカスの勇姿。現段階で日本一の高さですよ!


2015/12/10

地テシ:076 「夜の姉妹」開幕します

急に冬っぽくなりました昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。粟根まことです。朗読劇『夜の入り口』 第4シーズン「ポポイ」も無事終わりまして、それと並行して、いつもチラシを作らせて頂いているプロジェクトKUTO-10さんの来年の作品「骨から星へ」のチラシも作らせて頂きました。製作が遅れて多大なご迷惑をお掛けしながら。












来年三月の公演ですが、どうぞ覚えておいて下さいませ。


そして、いよいよネルケプランニング「夜の姉妹」の幕が上がりますよ。若い頃からお世話になりまくっているわかぎゑふさん作・演出による男女逆転劇。男女逆転ってコトは男女が逆転しているってコトでして、私も女性役をやりますよ。アンナ・エグロシュタイン男爵夫人というフランス貴族のおばさまです。皆様のご想像通り木野花さんそっくりになるでしょう。見にいらっしゃる時は、できれば木野さんの面影は忘れてお越し下さい。
ゴシック・ホラーと銘打っておりますが、ホラーというよりミステリーとかサスペンス調でして、しかもなんだか面白げなシーンも増えてしまいました。もともとがリリパット・アーミーIIのレパートリーですから遊べるところは遊んじゃおうって感じでしょうか。悲劇ではありますが、あんまり怖がらずにお越し頂ければ幸いです。

東京は品川プリンスホテル クラブeXにて12/11〜20、大阪は近鉄アート館にて12/23〜27に上演です。ガッツリ年末やらクリスマスやらと被っておりますが、二時間ほどに収まりそうですので気軽にお越し下さい。特に平日がオススメです。 

ところで会場なんですが、東京のクラブeXって演劇会場としてはあまり聞きませんよね。私も初めてです。品川プリンスホテルの中にありまして、要するに品川駅(JR、京急)の目の前です。かつては華族毛利邸だった由緒正しき土地です。 ちょっと場所が判りにくいのでご説明を。品川駅高輪口を出て、大きな横断歩道を渡った後、ウィング高輪westの中を突っ切って左斜め方向に進むと品川プリンスホテル アネックスタワーに入ります。で、ボウリングセンターを目指して行って、ボウリングセンター前のエレベーターかエスカレータで三階に上がって下さい。その辺りに判りにくい入り口がありますから、そこです。ていうか、ホントに判りにくいですから、ちょっと早めの到着を心がけて下さいませ。

初めてのクラブeXに対して、大阪会場の近鉄アート館は懐かしい劇場ですね。かつては何度も踏んだあの舞台が、一時の休館を挟んで復活し、今回リニューアル後に初めて行きますよ。「一郎ちゃんがいく。」の時は大阪公演には参加できませんでしたので、本当に久しぶりにあの舞台に立ちます。 

初めての劇場と、懐かしの劇場。この年末も刺激的な日々が過ごせそうですよ。